クドゥー

安達としまむらのクドゥーのレビュー・感想・評価

安達としまむら(2020年製作のアニメ)
5.0
『全てを表現できなくても、感動は言葉に宿っている』

一番仲良い友達との距離を決めあぐねている少女たちを描く青春アニメ。互いに方向性の異なる愛情を手探りで探していく関係性の尊さ、ふたりを見守ることができる地球に生まれて良かった人生のベストワン。ひとつだけ言えるのは、観ている時の顔は誰にも見せられない。

鑑賞記録
2021.02.20
Amazon Prime Video
→私に相応しいチョコを決めてもらう前にTV放送振りの一気見。女の子の友だちを好きになってた女の子から見た、好きな子の可愛さを主観で体感する作品は経験がない。俯瞰ではないから心情を言葉で説明できないし、消費などしたくないと思ってしまう。

2021.03.17〜2021.03.28
Blu-ray
第1話「制服ピンポン」
→授業中に体育館の2階で卓球に興じるサボり仲間と、他の友だちと一緒の時に出会って少し気まずくなる話。これ一本でも人付き合いがテーマのショートフィルム。OPの自転車カットを観て特別な作品になると予感し、EDは微かに抱いた高揚感の余韻そのものだった。

第2話「安達クエスチョン」
→夢の中でキスした友達のことが気になってしまって、最終的に「なんだばしゃあ」って叫び出した話。自分の気持ちに疑問を抱き始めた故の、無意識と自意識が混在している突飛な発想が可愛い。モノローグとダイアログもカオスで最高に良い芝居をしている。

第3話「二等辺トライアングル」
→運命の頂点を巡ってちょっとした三角関係となって、孤独よりも退屈を怖れる想われ人が磨耗する話。上手くいかなくて傷つける仮定には刃の片鱗が見えるけれど、時には寛容さが優しさよりも尊いこともあると思う。「さあ、頑張ろう」とゲームに誘う妹ちゃんは反則。

第4話「女子高生ホリデイ」
→同級生の母親とサウナで幼稚な争いをしたりする休日の中で、一日で簡単に変わるばかりではないことを実感する話。このシーンにおける「そんなの知らないよ。」の言い方が最高。各対象へ向ける割合が絶妙であって、感情とはそういうところに宿るのだと思う。

第5話「アダチズQ」
→「クリスマスに一緒に出かけよう」の一言がなかなか言い出せないで悶々としている話。「私ではなく、誰かと」という理由で本当に納得できるのか、それとも納得させてもらいたいだけなのだろうか。表情を失っていたところから弾け出す笑顔に何を想うのだろう。

第6話「ホワイト・アルバム」
→他の人に向ける笑顔に悶々としながらクリスマス当日を迎えたら、同じこと考えていて少しだけ報われる話。色々と古傷が抉られそうでもあるけれど、「いい思い出にならない」理由がすごく素敵。ブーメランとかほしいの「とか」って作中屈指の名言かも。

第7話「私に相応しいチョコを決めてください」
→気になるあの子の胸部について色々と妄想を膨らませ困惑したり、あると分かっている希望でバレンタインの約束をする話。灰色の毎日に与えられた色とはどれほど大きなものか。恐怖は過去からやって来るのではと気が気じゃない。

第8話「過去を紡ぐ茨 オールドローズ」
→数日後に控えた特別な日のことばっかり考えていたら毎日がびっくりするぐらいの早さで過ぎ去る話。最大の懸案事項が次週まで持ち越される衝撃には相当のものがあった。視線だけで原作の膨大なモノローグを語る演出は見事としか言いようがない。

第9話「そして聖母を抱擁する愛 マリーゴールド」
→バレンタイン当日何故かごきげんな彼女に翻弄されていたら、思わぬサプライズでハグがバグってしまう話。持ち越されていた懸案事項をこんな形で展開するとは。過去の茨に手を伸ばした先には、今という瞬間の抱擁が待っている。

第10話「桜と春と 春と月と」
→2年生に進級してせっかく同じクラスになれたところで、気がついたら微妙な距離が出来てしまっていた話。前回からの落差がありすぎて内容が頭に入ってこなくて胸が苦しい。再び彼女をよみがえらせたものとは何か、次回の解決編に続くシリーズ構成の鬼。

第11話「月と決意と 決意と友と」
→「逃げないぞー」と声を大にして叫ぶことによって、疎遠になりかけた友情を取り戻す話。アニメ版あだしまの世界がいつまで続くかは分からないから、不意に零れ落ちる涙で昇華される演出を素敵に思う。切磋琢磨することこそアニメ化の意義だと。

第12話「友と愛と 愛と桜と」
→もっと仲良くなりたい友達のお家で週末に連泊して、色んなことを「まあ、いいか」と受け入れてもらう話。自分が一人になって生きていくその日まで、隣にいて花を咲かせてくれたらと思える存在。今はまだこのぐらいでいい・・・いつかもっと先を見てみたい。

2021.07.23〜08.03
dアニメストア
→はじめてのスマホ鑑賞。こんなにも何度観ても面白い作品ほかにないし、人生の節目に観ると決めたところで放送終了半年後でもう4週目。読むと面構えが違くなるその後の原作は人生ベスト級なのだが、この頃の微妙で絶妙な距離感にもいつまでも浸っていたいと思う。

2021.12.24〜2022.01.04
dアニメストア映像オンリー&音声オンリー
→年末年始を利用して変態的な鑑賞。音声だけを聴いていれば映像が脳内再生されるし、映像だけを観ていれば音声が脳内再生される。しまむらは声だけでもやばいし顔だけでもやばいし、要するにガチ恋なんだろうなって思った。

2022.12.24〜2023.01.04
dアニメストア
→原作とコミカライズと合わせて心を整える年末年始。

2023.12.26〜2023.01.06
dアニメストア
→原作とコミカライズと合わせて心を整える年末年始。
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