ウシュアイア

屍鬼のウシュアイアのレビュー・感想・評価

屍鬼(2010年製作のアニメ)
4.4
小野不由美原作のジャパニーズホラーミステリの藤崎竜によるコミカライズ版をとベースする作品。

原作の小説も漫画も未読。

「屍鬼」というタイトルからわかるように今や量産されているゾンビ、吸血鬼モノである。

原作小説の主人公は、次から次へと不審死を遂げる村人の診察を行う医師・尾崎敏夫と敏夫の幼なじみで村唯一の寺院の跡取りの僧侶兼作家の室井静信が謎を解いていく話のようで、コミカライズ版では登場人物の一人に過ぎなかったDKの結城夏野を主人公の一人に昇格させてジャンプの系列の少年漫画に仕上げたようだ。そのおかげか、登場人物が多く一人一人の人物描写が掘り下げられている割に、話がとても分かりやすい。

藤崎竜氏のポップなキャラデザや翻案部分とは裏腹に、大人向けの本格ミステリである原作の奥行きは深く、量産されているゾンビもので最近ではやや陳腐になってしまったテーマ(人間の捕食者(プレデター)に生存権はないのか、プレデターとの共存の可否、プレデターになってしまった人間の苦悩)からプレデターと戦う人間(若先生や村人)の残酷さなどが宗教や日本的コミュニティーの排他的体質と絡めて描かれていることが伝わってくる。

同時に、主人公の一人にDKを加えたことで、少年漫画的な熱い闘争心やエモい友情(ちょっとBL臭くもあったが)といった要素が入り、ストライクゾーンが広い作品になっている。

量産されているゾンビもの、プレデターものよりも奥が深いので、超おすすめ。
寄生獣、東京喰種とか好きだった人には特におすすめ。
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