Yuto

パシフィック・リム: 暗黒の大陸 シーズン1のYutoのレビュー・感想・評価

3.4
NETFLIXにて一気見(オリジナル音声+日本語字幕)


陥落したオーストラリア大陸で両親を探し求める兄妹と怪獣の死闘を描く物語。

アニメーション制作は『シドニアの騎士』『BLAME!』『GODZILLA』3部作などで知られるポリゴン・ピクチュアズ。


私が本作を鑑賞したのは、『パシフィック・リム』のファンだからと言うよりはポリゴン・ピクチュアズのファンだからです。
2017~18年のアニゴジ3部作で知り、それ以降好きになりました。

シドニアの騎士(2014,15年)、BLAME!(17年)、アニゴジ(17~18年)、そしてHUMAN LOST(19年)などポリゴン・ピクチュアズの制作するアニメーションは作品を重ねる毎に確実に進歩しており、非常に見ごたえのある映像を作り出す会社として私は高く評価しています。

しかし本作にはあまり期待はしていませんでした。と言うのも、前作に当たるアップライジングという地獄を経験しているので(好きな人いたらごめんなさい)、ポリゴン・ピクチュアズ制作とは言え期待値はかなり低かったです。

その上で結論を言えば、総合的に思ってたほど悪くはなかったです。結構スムーズに最後まで観ることができました。


本作はセルルックCGアニメーション作品です。セルルックは賛否ある映像表現ですが、私は好きです。

整ったキャラクターデザインは3DCGとの相性は悪くなく、アニゴジや人間失格ほど多様ではないものの、少なくとも違和感を感じない程度にはその表情を演出できていました。

メカ、言うまでもなくイェーガーの造形やコックピットのUIなどの映像は流石はポリゴン・ピクチュアズでした。
スーツの装着シーンなんかもかなり凝った演出でした。

そして肝心の怪獣とイェーガーのバトルシーンですが、これは良かった点と微妙な点がありました。

良かった点としては、怪獣の表情の変化をかなり細かく表現できていたこと。これまでポリゴン・ピクチュアズが造形した怪獣はゴジラやギドラ、巨大ロスト体など、いずれも表情に細かい変化はないものでしたが、本作の怪獣は頭部の筋肉の微妙な動きなどで野生的な獰猛さを上手く表現していました(特に7話)。デザインやモデリングもかなり良かったです。

微妙な点ですが、やはりプロレスシーンの重量感が欠如しているように感じるところです。動きがかなり軽快なんですが、あれほど巨大な物体だと物理的に困難でしょう。アニメならではと言えばそれまでですが、動きをよりスローにするだけでも見え方は全然違ってくると思います。そこが勿体なかったかな。

さて、映像に関してばかり批評しましたが、ストーリーに関しては特に触れません。案の定まだ続きがあるようです。


総評としては、良い意味でポリゴン・ピクチュアズのアニメでしたが、実写映画としての『パシフィック・リム』という作品の魅力を追求し過ぎても得られるものは少ないかなって感じでした。

セルルックCGの出来映えも、私みたいに好きな人から見れば良かったですが、それが嫌いな人にゴリ押しできるほどでもないです。

アニメに特別抵抗が無ければ観て損はないと思います。
Yuto

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