映画ケーン

86―エイティシックス―の映画ケーンのレビュー・感想・評価

86―エイティシックス―(2021年製作のアニメ)
2.5
ラノベの勉強で原作を読み始めたんだけど、中身がないのに難しげな修飾語がやたら多くて、中二みたいな悪文に辟易したから、ひとまずアニメを観ることに。
観てみて、読むのやめた。驚く程面白くなかった。

AIの兵器が作れなかったから、それを隠蔽して人を乗せてる、って設定は面白かった。

ただ、『アルドノア・ゼロ』にみた中高生向けの気取ったアクションものって感じ。内容や雰囲気も全く同じ。

回想、説明台詞、モノローグが多過ぎ。毎話モンタージュ(こんな事して、あんな事して、これをしたって映像で説明する描写)がある。話の筋がない証拠。
絶対的に正しい主人公。キャラがみんな同じに見える。
ドラマも取って付けたよう。戦術の「せ」の字もないアクション。

人権がないはずの「ブタ」達がやたら理性的で理解ある。スラム化しないのか。もっとガラ悪くならないのか。人権も剥奪されて馬鹿正直に国に奉仕する奴がいるか。
ひと部隊の指揮を1人でやるのはおかしい。
「ジャガーノートには人が乗ってる」なんて言ってなぜレーナは殺されないのか。なぜレジスタンスを結成しないのか。

戦場ばかりで平和な共和国が描かれない。犠牲の上にしか成り立たない平和や繁栄がある。そこで暮らす人々の幸福な様を描いて初めて厚みが出るんじゃないか。そんな世界を描いているというのに。

人種差別を描けばそれだけでエラいのか。
その先を描かなければ意味がない。
例えば、ヤコペッティは『残酷大陸』で黒人を虐げる白人を散々描いた後に、彼らに復讐する黒人を描き、それすらも「酷いよね」と人間そのものの残酷さの次元へ持っていく。『炎628』は、ヒトラーに憎しみを抱くも、ろくに戦えもしない少年の悲しさと嘆きを描いている。
ただ、それだと場合によっては角が立つし、文芸になってしまう。だから、「考えさせられる」程度の方が人気が出るんだろうね。本気で考える必要なんてない。
何だか寂しい。
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