ウシュアイア

終わりのセラフ 2ndのウシュアイアのレビュー・感想・評価

終わりのセラフ 2nd(2015年製作のアニメ)
4.4
主人公百夜優一郎が吸血鬼に殺された家族・親友の復讐のため、吸血鬼の支配からの解放を目指す日本帝鬼軍に加わって吸血鬼と戦い、死んだと思われていた共に孤児院で育った親友ミカエラが吸血鬼になって生きており、二人が再会したところで前半(第1期の前半、シーズン1)が終わる。(※シーズン1のネタバレを思いっきり書いているようだが、話はあまり進んでいないし、キービジュアルとOPの映像で分かる。)

シーズン2は「名古屋決戦編」となっており、名古屋で日本帝鬼軍が吸血鬼と壮絶な戦いを繰り広げる話である。

第1期(シーズン1,シーズン2)は全体を通じて人間(日本帝鬼軍)対吸血鬼という対立構造ではあるものの、『進撃の巨人』のように別の対立軸も潜んでいるようで、物語のメインストリームにおける伏線を張り巡らせたところで終わった感じである。シーズン3以降(制作されるのであれば)で伏線を回収しながらクライマックスを迎えるというところだろう。シーズン2から7年経っているが、制作当時は原作の連載に追いついてしまい、続編が出てこないは弾切れということや、完結のタイミング次第で残りをどのくらいの期間で制作するのかといった問題もあるのだろう。

物語の本筋が面白くなる(かもしれない)のは先の事として、話が進んいなくても間をもたせている「仲間との絆」である。吸血鬼とのかかわりは不明だが、一度世界は破滅的な状況を経ており、主要登場人物は家族を失っていたり、また家族はあっても名門の血筋の中で疎外感を感じたりで、「家族」を求めている。生死を賭けた吸血鬼との戦いの中で仲間は血縁よりも強い「家族」となり、優一郎もミカエラが生きていたということもあるが、戦いは吸血鬼への復讐のためではなく、手に入れた「家族」を守っていくためへと変わっていく心境の変化が熱いのだ。

そして仲間と家族の違いは何か、ということも見えてくる。
命をかけて守ることだけではなく、「家族」は血のつながりがなくても互いにエゴを通し、受け入れることにある。シノアたちがが受け入れた優一郎のエゴ、優一郎が受け入れたグレンのエゴ、ミカエラが受け入れた優一郎のエゴ、とは何かという観点でみるとなかなか味わい深い。
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