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ぼっち・ざ・ろっく!の映画初心者のレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.5
斎藤圭一郎初監督作品。かなりの傑作。ガイナックス文脈をこれでもかと感じる。令和のけいおん、令和のカレカノ。ただし、微妙な回もままあるので文句なしの大傑作...とまではいかない、惜しい。
(ACCAのOVAでの監督経験はあるらしいですが、ごめんなさい、そっち見てません。本格的な初監督作品というニュアンスでどうぞ)

【話数の好き度】
3話>12話>1話=5話=8話>11話>4話>6話>7話>2話>10話>9話

オススメは、1話、3話、5話、8話、12話です。特に3話のアイデア力に満ちた感じがね、たまらない。

映像でしか出来ない表現、実写、ペープサート、ストップモーション、3DCG等ふんだんに凝らして豊かにしている。これがまず素晴らしいと思います。それによってギャグが相乗効果で面白くなっている。特にそれが3話で顕著でした。ただ、言ってしまえばそのアイデアが後半に従ってマンネリ化しているのは事実、そのためもし2期があれば...1期ほど楽しめないと思います。

コンテが良い回が多いです。笑いは「間」が重要と思いますが、その間やカット割りが完璧。滑ったりすることなく、しっかりと制作者の意図通りに面白いと感じている、感じさせられている。チェンソーマンは間とカット割りでギャグが滑ってますからね...

お話として成長譚になっている。それが8話で一度終わる。目的を達成してしまっている。それ以降はもちろん面白いですが、新たな何かが無いと蛇足になってしまっているような感じがしますね。

EDの曲が4回?ぐらい変わるのが良いですよね。全体的にどの曲も良かったと思います。1番OPの印象が薄かったのは事実。


----以降、各話感想

【1話】
コンテ・演出:斎藤圭一郎
1話として最高だったと思います。ハイテンポで1話にして背景・出会い・本番をサクサクっと描きます。お話としてギャグが多いので軽く見やすく、映像としてガッツリ作り込んでいます。コンテが良く、冒頭のモノローグで、主人公の名前を言う時に正面顔+目パチで描写。こういう描写好きなんですよね。3DCGレイアウトを多用しているようで3DCGの空間にポツリといる主人公、唐突に入る緩い解説などもテンポ感含めて良かった。Sonny boy8話の印象から斎藤さんが進化していると思いました。不安な要素としては音楽シーンをどう描くか、真正面から描くとキャロル&チューズデイのようにだれてしまうため塩梅が難しそうに思います。原作が漫画らしいのでどう音楽シーンを省略するのかが映像化の腕の見せ所だと思います。

【2話】
コンテ:斎藤圭一郎
演出:藤原佳幸
3Dレイアウトっぽさは極端に減り、引きの絵とバストアップの絵が基本になっていた。ギャグがハイテンポで進むがそのテンポが一様なため若干ぐだっている気がしました。主人公の謙遜ギャグが繰り返されることも原因しているかもしれない。一番笑ったのは実写写真を使用したところ。サウスパークかと思った。小林さんっぽい枚数を使った作画がなぜモップで拭くカットにしたのか、重要なカットでもなく異様に浮いていた。
それと、黄色い髪の子の後ろ髪の色の範囲が独特、あんな表現初めて見た。

【3話】
コンテ・演出:山本ゆうすけ
今まででベスト、最高の回です。明らかにコンテが良いです。映像的に退屈にならずあれよこれよとバリエーション豊かな映像で魅了されます。ギャグ演出の引き出しが多く、ペープサートを使ったりする演出はカレカノっぽく、斜めのアングルでギャグ走りするのはFLCLっぽく、止め画揺らぎは今石作品っぽくと過去の他作品のオマージュが良いです。

【4話】
コンテ・演出:刈谷暢秀
3話ほどでは無かったですが良かったです。お馴染みのギャグも効いていますし、歌詞を作成するという流れで重苦しい話を入れてきて、テンションの高低差が激しい回でした。表現としてはグリッチノイズみたいな作画が良かったです。他にもアリを異様に丁寧に作画したりなど随所に謎のこだわりが感じられる回でした。

【5話】
コンテ・演出:川上雄介
4話よりも楽しめました。相変わらず面白い表現だらけ。唐突に実写、ロトスコープのような動き、3DCGを下地にしたような演奏シーン。1話の間でこれだけ多用な表現をしてくるアニメもなかなか無いので毎週楽しみ。今回の話数で好きなところは、ロトスコープのような動きをしているところ。青ざめた主人公の異様さがそれで浮彫になっていました。そして、自動販売機のシーン。あそこは小林さんっぽい影つけやタイミングで個性全開でしたがクレジットにないので誰だったんでしょうか。

【6話】
コンテ演出:藤原佳幸、ライブシーンコンテ:川上雄介
2話より良かったですが比較的抑えめな回でした。それでも十分面白いです。冒頭とライブシーンが良かった。こんな話数でもライブシーンあるんだと思いました。ライブシーンの背景動画の入りがかっこいい、これだけ見れただけでも満足です。

【7話】
謎回。謎の北斗の拳パロディ、ゾートロープの描写などなんの回なのかわからなくなりました。絵的に楽しいのでそれで満足です。

【8話】
タイトル回収回。重要な回だけあって監督自身がコンテを担当。ライブパート以外は素晴らしかったです。ギャグからシリアスまで演出が的確で見ていて魅了される。ただ、ライブパートは狭い空間での演奏とあって画面が単調な感じがしました。ライブ中にスマホをガン見してる客の描写などは良かったです。

【9話】
江ノ島回。唐突にドラゴンボールのヤムチャのパロディ出してきたところには笑いましたが全体的に凡庸。特に面白くもなく、ふ~ンと言う感じで終わりました。微妙。

【10話】
マンネリ化を感じます。ギャグもライブも悩みのシーンでさえも過去話数で見たものとほぼ同じ。そのため、面白さが微妙になっています。今のところ8話で終わるべきだったと感じる。

【11話】
3話以来の山本ゆうすけ回。さすがというか、9話、10話の微妙さを払拭してくれる面白さがありました。やはりぼっちは映像表現を実験的に取り入れてるところが良い。実写にCGに、色々な映像を取り入れてギャグのトリッキーさを増して面白くなっている。9話、10話と違い、映像表現がグッと面白いのでやっぱりコンテ演出の力量の差があるのでしょうか。
山本ゆうすけ氏は追っていきたい。

【12話】
演出力が強い回でした。文化祭、吐息だけで包まれる画面のような緊迫さ、ギャグの鋭い間。完全にわかっている尺の取り方で、制作者の手の上で踊らされている気分です、もちろん良い意味で。最終回にして最終回らしい話の盛り上がりは無いけれども、まぁいいんじゃないですかね。お話より映像的な演出の方が重要だと思ってるので。
それにしてもアポロンbahiオマージュでTwitterが盛り上がったのが笑っちゃった。
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