センカン

重戦機エルガイムのセンカンのレビュー・感想・評価

重戦機エルガイム(1984年製作のアニメ)
3.8
策謀と愛憎溢れるペンタゴナ

パパの遺したロボに乗って正規軍に入るために田舎から上京したら、いつの間にか正規軍に追われて、気付いたら反乱軍指揮してた話。なんやそれは笑。
中盤くらいまではどう転がるか分からんストーリー性で楽しみつつ、後半は本格的なポセイダルVS反乱軍の宇宙戦争を楽しむ感じ。ちょっと後半中だるんだかも?というかキャラ増えて且つ敵味方陣営が複雑で分からんくなりましたorz

本作特徴的なのはキャラの心変わりの早さ。殆どのキャラは最低一回以上裏切り行為を行います。というか真面目に生きてる奴は早々に脱落する世界。主人公ダバと初期からの親友のキャオすら序盤空気を吸うように裏切る。これを許すどころか何も気にせず受け入れるダバも凄いけど。
ヒロイン枠のアム、レッシィもダバに惚れて敵陣営から寝返り組。結果的にだけどこの二人とか元陣営裏切らなかったら死ぬか左遷されてるだろうし、衝動で動いたとは言え何気に正解を引き当ててる。

この裏切り者達の中でも最たるキャラがライバル枠のギャブレー君。半クール毎ぐらいに付く人間を変えてる気がします。
何が凄いって毎回ダバに負けるから基本あんまり活躍してないのに、その堂々たる姿勢と口振りから戦果無くても出世する処世術。ダバやアム達が冒険を経て成長する中ブレないギャブレー君を見てるとなんか安心する。裏切り続けながらもダバにライバル心を燃やす彼が、終盤魅せる変化にも注目です。

敵ポセイダル軍も一枚岩どころかシェーバーも驚きの6枚、7枚岩くらいに思惑が分かれ、各々に引っ付いたり離れたり、後半はひたすらに策謀渦巻く戦場が繰り広げられました。そんな中だからかもしれませんが、妖精リリスの過去と核の脅威が描かれる45話は、嫌に人間臭い他の話と違った色合いで非常に印象的。好きな話でした。

そんなエルガイムのもう一つの魅力は愛憎劇、アムVSレッシィのダバ取り合いは序盤はコミカルに、中盤で熱を増していく。初期にベビーメタルでポコポコ殴り合ってたのが懐かしく感じます。
どこまでもダバを追いかけるアムも可愛いですが、十三人衆の立場を捨ててダバに寄り添いながら、時に離れ彼を支えるレッシィの距離感は非常にいじらしい。
個人的に好きなシーンが、レッシィの策でアムがダバの元を離れさせられる時期、敵襲を逃れ安心した所で油断したダバが、レッシィの事をアムと呼んで指示を出してしまう…
その指示にハッとしながらも訂正せず返事をするレッシィ…アムを退けた罪悪感やアムと自分のダバとの距離の差を見せつけられる悔しさ、感情を押し殺して返事するシーンで泣きそうになりました。ダバの馬鹿野郎!、あいつ気付きもしない!
良くも悪くもレッシィ優遇の話多いんですよねエルガイム。正ヒロインの呼び声高い。

54話もあると感想が尽きませんね。点数の通りそんなに高く評価はしてないんですが、妙に惹きつけられる中毒性のある作品でした。やはり富野監督の描くキャラはクセが強いなぁ。。。以上!

点数内訳
世界観:3.5
ストーリー:3.5
キャラ:4
音:4
映像:4
スコア:3.8
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