映画初心者

Do It Yourself !! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-の映画初心者のレビュー・感想・評価

3.4
DIYをテーマにした作品。Twitterでいう「おっさん趣味を女子高生にやらせた系アニメ」の1つではないでしょうか。オリジナル作品とあってどういった冒険的なことをするのかと思えば、いたって普通、the定番。特に毒にも薬にもならない作品だったと思います。もう少し尖った作品になっていたら良かったです。ジョブ子は良いキャラしてましたよ。

【オススメ回】
3話:作画が凄い、ジョブ子が良い味出してる
4話:レイアウトがとても良い
6話:松尾祐輔氏の色が強い絵で動く

乾いた明るさがあり、湿っぽいじめじめした陰鬱な展開はほぼありません。そのため、見やすい作品です。ただ、お話としてドラマ性を積み上げず、ただただDIYをするだけの回なんかあったりして、何をしようとしているのか意図がつかめなかったですね。
それならば、映像は...というところ。なのですが、映像としてもう~ん、良い回は良いけど、アベレージとして「普通」という感想になります。悪くは決してない。

【1話】
Twitterで大評判でして勇気を出してみたところ、確かに絵が独自のセンスで良いと思いました。昨今のアニメでありがちな何でもかんでも動かすのではなく、重要なシーンだけにしっかり枚数を割いている。そして撮影マシマシの画面ではなく、比較的あっさりめな画面からも昨今のアニメの潮流とは少し外れたアニメだと思いました。手の省略が巧みで、上手い人でないと成せない技だと思いました、一歩間違えれば作画崩壊と言われそう。ただ、絵以外の部分はかなりオーソドックスでしてその部分に関しては満足しなかった。絵の方向性としても自分のド直球の好きとは外れているので、テンションは低めです。個人的にはフゴさんのイメージボードの絵の方が朗らかで、こっちのスタイルでやって欲しかったなぁと(TVアニメではまず無理難題でしょうが)

【2話】
う~ん...という感じです。「DIY」という要素が面白いのですが、他のアニメでよくやっている凡庸な日常ものをDIYに置き換えただけでこの作品の良さがあまりわからないです。もちろん淡いルックやデフォルメ気味のキャラデザインは良いのですがこれだったら朝のニュース番組のDIY紹介コーナーで5分アニメとして流して欲しい感じがします。お話としてどうも実在感がないと言いますか、全部テンプレな感じがするんですよね。面白い演出も無く、ほんとにう~ん...という感じ。

【3話】
1話、2話と比べて断トツで良い回です。海外留学生のキャラも登場してようやく役者がそろってきた感じがあります。とかく1カット目から絵がもの凄く良いこと。1話のニュアンスよりも3話のニュアンスの方が自分好みで極上でした。そして新キャラの声がとても良いですね、少し癖のある声で今まで素朴だったDIYのキャラとはかけ離れていて良かったです。そして、このアニメの面白さは主人公せるふの現場ネコ案件っぽい行為を楽しむことなのかもしれないと気付かされました。そろそろグロアニメになっても良いころ合いかもしれません。

【4話】
コンテ演出:米森雄紀
3話に引き続いて最高。1話、2話は何だったのか。ジョブ子が登場してきてから会話劇が一気に面白くなり、4話では母親との会話、せるふとの会話で節々から昔馴染みだけど敬語を使っていいか迷っていることが伺えるのがいいです。そして、4話なんといっても構図が抜群に良い。空間の切り取り方が異様に巧く、映像を見てるだけでもう楽しい!。そして3話同様に絵も強く、申し分ない極上。

【5話】
グロス回。3話、4話と比べると満足度は低いですが、1話、2話と比べるとキャラが全員揃い、DIYらしい雰囲気がつかめてきた気がします。2話で登場した眼鏡キャラが完全に空気になっていて存在の理由が謎ですが、ジョブ子が面白キャラなのでなんとかもっている感じはあります。DIYに関してですが、せるふが現場ネコ案件のような危険行為をしないため面白味も薄くなってるのかもしれません。映像として、木の色味が良かったです。秋らしく少し黄色っぽい木の色が新鮮でした。

【6話】
フゴ作監回。1話のフゴさんっぷりより好きです。海の回とあって絵的に楽しいです。キャラごとの手の描き分けなど徹底的に「手」のニュアンスの良さ。ヤマノススメ6話同様に、かなり作家性が前面に出てきているため、作画崩壊と言う人が出るかもですね。どんどんフゴさんは「どうキャラを省略して描くか」という挑戦をし続けている気がします。

【7話】
DIYするだけの回。アベレージは高い一方で、作画を繰り出したりすることがなく、どこか凡庸。展開も動かずほんとうにDIYするだけの回でした。

【8話】
基本的にキャラが座りっぱなしで絵的に面白くなかったですね。元々お話が面白い作品ではなく、作画的な魅力が取柄だったので今回は7話に引き続き微妙ですね。この世界にCADがあるのが意外でした。

【9話】
豚の小屋を作成する回。正直、今までさほどキャラを深堀せず、徹底してDIY描写を描いていた付けが回ってきた感じがありますね。まとめに入りつつありますがキャラ描写が不足しているせいで空虚に感じます。
映像としては一瞬登場したせるふの幼少パートの絵が良かったです。

【10話】
悲しい展開になってもポップさを忘れないDIYの姿勢が良いです。王道少年漫画みたいな展開になってきていて終盤さをうかがえます。ジョブ子がやはり良いキャラで股を開きながら登校する様や、昔を懐かしむ先生が言うDIYのテーマをセリフで語るシーンでは「急に文明の話になった」と冷やかしていたり。作画的には特に顕著な部分は無かった気がします。
DIY、忍者回が欲しい....

【11話】
いつものポップで元気なDIYらしい回でした。ツリーハウスも作られ、ほんとに終盤という感じ。ラストあたりは今岡さん作監パートでしょうか、カーテンを閉めてベッドに転がる一連が特に巧かったです。

【12話】
最終回。ここにきてドラマを「消化」している感じでした。さほど積み上げられていないドラマパートを消化する。Aパートはジョブ子との別れ、Bパートはせるふとぷりんの関係性。ただ全く積み上げていないのにそれをしているので上滑りはしてますよね。演習面としても劇的に良いものは無く、the定番というものでした。作画としては3話、4話、6話と素晴らしいものがあったため、それを超えれてはいない、他の回とさほど変わらない映像でした。
映画初心者

映画初心者