レインウォッチャー

てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!(2022年製作のアニメ)
3.0
美少女群像×「何か」の作品は多々あるけれど、何か is お笑い が成功したアニメはごくごく少ない。
今作もまた、どちらかといえば「…動かない、ただの(略」だとは思う。

ただ、芸そのものを見せるのではなくて、キャラクターたちの日常が結果的にコントの内容になっている、という見せ方はちょっとコロ卵だった気がする。あるいは苦肉の策か。テキトーな日常アニメとしてみれば人畜無害ではあるけれど、味もあまりしないのも事実。

古来からギャグアニメというジャンルは成り立っているのに、「お笑いとアニメ」になるとぎくしゃくするのはなぜだろう。
今作も、いわゆるリアルの漫才やコントのボケ・ツッコミっぽい台詞が都度盛り込まれているのだけれど、その度に画面が止まってしまうような印象を受ける。会話をグルーヴさせるはずのボケ・ツッコミが、逆にテンポを悪くしているのだ。

それはネタ自体の面白さとか、声優さんの演技力とは別に構造上の壁があるのでは?と推測してみる。
ボケる→ツッコむ、という流れがリアルで行われるとき、観客はその言葉をいま発している芸人さんだけに集中しているわけではないと思う。受け手側のリアクションとか、全体の雰囲気(時には客席まで含めた)も込みのかなり流動的な情報を受け取って、笑うのではないか。

アニメになるとどうしても会話は順序だったものになりがちなため、リアルらしい文法が通用しにくいのかもしれない。
アニメにはアニメの得意分野(現実ではありえないような動き等)があって、所謂ギャグアニメはリアルと別種の笑いを生むことができると思うのだけれど、リアルをそのまま持ち込んで再現するのは相当に難易度(カロリー)が高いのだろう。

あとは単純にキャラが多すぎる問題。これってソシャゲ?と思えるほどの15人もいるのだ。
3人ずつ計5組のお笑いトリオに分かれ、1話ずつ順繰りにメインエピソードが描かれる。個々に愛着が湧きにくいのは当然の流れとなり、リアルのお笑いだと「この人がこんなことを言うなんて」のようなギャップで笑わせることもあるだろうところ、そのような効果は見込みづらい。方言などでキャラ付けには工夫が見られるが、言うてみんな美少女なわけだし。

「お笑いとアニメ」の成功例として思い出すのは『じょしらく』だけれど、あれはあれでほぼ楽屋トーク&怒涛の物量&落語ってそもそも「聞く」もの、という特殊マターを活かした感じだったので、汎用性が高いとは言えないだろうし…

何にせよ、この屍(って言っちゃった)を糧にして、新たな挑戦が生まれることを願ってやまない。
OPのお笑い→ダジャレ→ラップ、という連想をガチった楽曲は良かった。

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推すならシンリャクシャ…と見せかけてセレブリ茶。縦ロールは正義。