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ガールズ&パンツァーのtakのレビュー・感想・評価

ガールズ&パンツァー(2012年製作のアニメ)
4.0
やっと見る気になって全12話完走。世間がいいと言うのにはやっぱり理由があるのだな。早く見ておけばよかった。

男子不在のガールズ成長物語はアニメの世界にゃごまんとある訳だが、ガルパンが面白いのは人間関係の面白さと多彩なキャラクターたちそれぞれのドラマがあることだ。クライマックスの姉妹対決。伝統とプライドを賭ける姉と、自分が信じるがままに自分にできることに懸命になる妹。最終回は手に汗握る素晴らしいバトルと爽やかな結末。

敵わないと思える巨大なものに立ち向かう話は、判官贔屓(ほうがんびいき)として日本人がそもそも好むところ。戦車道を復活させた大洗女子学園が強敵に挑む姿は、経済力をバックにスラッガーを揃えた私立高校野球部に、公立高校野球部が挑むようなもの。

誰も見捨てない、自分が今出来るそれぞれの役割を果たすことの大切さを、この女の子だらけのアニメは教えてくれる。それは例えば、優秀な学生の実績で学校をアピールしたがる学校じゃなくて、苦手科目だらけの学生がそれぞれの得意を活かしながら毎日教え合って励ましあって、みんなで合格しようと頑張ってボトムアップして実績をあげている学校のようなものだ。

彼女たちが自分らしさを見つけていく過程には、立ちはだかるものが幾つもあった。ヒロインには戦車道の伝統ある西住流という大きな壁。華道の家元、祖母の期待、好きを貫くこと、誰かに慕われたいと願うこと。そして生徒会からの謎の期待とプレッシャー。物語の後半には、彼女たちが居場所を守るための闘いへと変わっていく。人間関係の面白さ、男にゃわからんと言われそうな、絶妙な女子特有の距離感が見ていて心地よい。

勝敗だけにこだわってきた他校のメンバーとは違って、大洗女子学園の面々には戦うそれぞれの理由がある。それはディスプレイのこっち側で見ている僕らが、知らず知らずのうちに感情移入させる重要な要素になっている。単なるドンパチとは違うのだよ。

そしてこの作品が、地域観光やPRに大きな貢献をしたことも忘れちゃいけない。
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