ウシュアイア

アルスラーン戦記のウシュアイアのレビュー・感想・評価

アルスラーン戦記(2015年製作のアニメ)
4.0
異世界を舞台に、今のところ妖術などがちょっとだけ出てくるファンタジー歴史物語。

原作の田中芳樹さんは歴史小説なども書かれる方ということもあって、ファンタジーと言えどもラノベの源流にある角川スニーカー文庫などよりも歴史小説寄りのファンタジーになっている。30年くらい前に刊行が始まった田中芳樹さんの小説をさらに荒川弘さんが漫画化し、それをさらにアニメ化したものなので、キャラクターなどの脚色が現代風になっている。原作小説は1,2巻を読んだくらいだが、本作の主人公の王子は小説版よりも子どもっぽいキャラクターになっている。

異世界ファンタジー作品は、世界の社会制度の設計などが雑になりがちであるが、本作は異世界が舞台と言えども社会制度、政治、経済、宗教、文化についてもきちんと設計されており、ミクロからマクロにいたる人間社会の本質が描かれている。基本シリアス展開ということもあり。かなり硬い作風なので、異世界ファンタジーでもラノベ愛好家でも好みが分かれると思う。『キングダム』や『ヴィンランド・サガ』のシリアス歴史ロマンと『進撃の巨人』の中間をイメージしたらよいだろうか。

原作が古いこともあって、キャラクターはややベタ。世界観はヨーロッパではなく、中東(ペルシアやトルコ)をモデルにしている点はかなり特徴的で映像的にも見ごたえがある。

キャスティングは実力派揃いだが、ヒルメス役の梶裕貴さんの低音悪役ボイスは『ダイの大冒険』のヒュンケル同様、かなり無理をして出している感があり、味方サイドの細谷さんや浪川さんのようには低音が響いていない。声優さんには声色ではなく演技で頑張ってほしい。
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