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モブサイコ100 IIIの映画初心者のレビュー・感想・評価

モブサイコ100 III(2022年製作のアニメ)
4.4
モブサイコ3期、1期2期と比べて1番面白いです。そしてしっかりと着地をしたEND。こういった思春期、青年期ものは母や父との会話で締めるのが定番ですが、霊幻とモブの関係、これこそこの作品の独自性だと思います。

キャラがとても魅力的で、話の展開は王道にも関わらずとても魅了されます。お話としては8話が良いですね。ああいった爽やかさを感じるものは好きです。1話30分がとても短く感じるぐらいの面白さなので多くの人にオススメできます。

ただ、終盤が順当すぎて物足りなさ...みたいなものはあります。面白いところだけで良いっという人は9話ぐらいで締めても良い...いやいや全部見た方が良いとは思いますよ。唯一の明確な欠点はOP映像が10GAUGEの悪いところ全開でダサすぎるところですかね、完全にMVのノリで作っていて歌詞をくそでかフォントで出してて見てて恥ずかしくなる。

【超オススメ回】
4話、6話、8話。特に4話と8話は今年ベスト3ぐらいには入るかも。

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以降、各話感想。

【1話】
コンテ:蓮井隆弘
3期の導入として良いと思いました。1期と2期を見ていなかったとしても何をする作品なのかがわかりやすい内容。そしてモブサイコらしい霊幻の超能力者アピールギャグなども安定して笑ってしまいます。作画にしても衰えを知らず、何気ないエピソードでもこんなに凄い作画をするなんて贅沢極まりない。

【2話】
コンテ:蓮井隆弘
毎回背景動画を入れるルールは3期でもあるみたいです。頓珍漢なことを言うとBGMがストップしたりコメディ演出も効いています。特に今回では煙エフェクトの線がくっきりしているのが良いです。1話に続き安定して作画が凄いため見どころもあり、今期のアニメで最も安定して楽しめる作品です。EDはガラスに絵の具を使ってアニメーションする手法は変わらずですが何度見ても凄いと思える芸術的な方向で良いです。

【3話】
コンテ:神谷友美
広角パースの画面が多く、いつもと違った印象を受けました。天才バカボンと同じく劇画調の絵になったりとユーモアが今回も効いています。服選びのシーンでは1期を彷彿とするような線の太さで良かった(2期では線が細くなってたのが若干寂しかった)。1話、2話、3話と安定して面白くアベレージが高い作画、非常に良いアニメだと思います。1期2期よりも3期が今のところ1番面白いです。

【4話】
コンテ:内田直人
今までで1番コンテが良いと思います。とかくホラー演出が上手い。影、広角、斜め構図とホラーらしい怪しさ、何か起こりそうな予感を感じさせます。内田さんが黒沢清監督を参考にしたといいますがなんとなくわかります。特に、冷蔵庫の音の演出が良かったですね~。序盤のシーケンスではカット単位で演技の量が多く、実写感のある映像でした。最高の回です。

【5話】
コンテ:重原克也
終始アクションが続く回。ロケーションは変わらず、エフェクトや背景動画などが多かった。演出的な妙はあまり無く、4話に比べると満足度が低い。毎回これだけの作画クオリティやられているせいで、逆にこれだけの回でも満足度がまぁまぁなのは贅沢だなと。

【6話】
コンテ:木曽勇太
4話に引き続き最高の回でした。4話はコンテで完全にコントロールする優れた回でしたが、今回はアクションシーケンスで優れた回でした。田中さんからの中村豊さんのリレーが素晴らしい、空中戦だからとサーカスが登場したりと画的にどんどん楽しい。ストーリー的にもエクボとの別れをエモくなりすぎない程度に描いて良かった。主観的な泣きショットより第3者視点からの泣きなためエモくなりすぎていない。

【7話】
コンテ:伊藤慎之助
日常回。日常回なのにめちゃ面白い。冷静なツッコミ等キャラクターの掛け合いが面白い。そして作画的見どころもばっちり。レイアウトとしても魚眼構図があったりと面白い。生々しいシーンでは歯をデフォルメ薄めに描くなど演出も良かった。安定してこんなに面白いの凄く良いアニメ。

【8話】
コンテ:ゴハクユ
超最高。4話とベクトルは違いますが珠玉の回だと思います。何から何まで絵が良く芸術的。撮影も凝っており非常に見応えがある。ドラマやギャグもとても良くお話としても良かった。特にラストシーケンス、もろスペースダンディでうおおおおおおおとなる非常に良い体験ができた回でした。

【9話】
コンテ:谷田部透湖
演出:進藤陽平
告白回。携帯電話のシーンとラストシーンが良いですねぇ。携帯をかけて広角アングルになりダイナミックさを見せると母親が入室、壁の汚れをいじり、階段を上り、と話ながらも人物が行動しているので画面が飽きない。そして、最後はセリフ無しによって印象を残す。ラストシーンはショッキングながらも陽気な音楽がかかり、よりおぞましさを感じさせる、黒澤明の音楽の演出に似ている。

【10話】
急にどないしたと思いました。唐突に主人公が暴走する回。相変わらず作画が良い、それだけで満足できる。割ととっ散らかった内容になってしまっているので、ただ傍観、それが正解

【11話】
なんか、お話としてまとめに入ってるなぁって感じです。映像として作画が良いのですが、正直回想シーンの2期の映像の方が作画が良くて絵が強いんですよね。そのため、お話として△、映像として〇ぐらいで、9話以前の総合クオリティから明らかに落ちてしまっていると思います。

【12話】
順当な最終回でした。霊幻は嘘を認め、モブは影山という少年となる。主題歌演出が若干滑っていてそこは全部背景動画で見せて欲しかった。やっぱり背景動画こそモブサイコの顔なので、むっちゃくちゃなことをして欲しかったところです。
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