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相棒 season 21のtubameのレビュー・感想・評価

相棒 season 21(2022年製作のドラマ)
4.0
警視庁の陸の孤島・特命係が事件を捜査する刑事ドラマシリーズ、シーズン21。


前作でシーズン14からシリーズ最長6年に渡って杉下右京の相棒を務めた冠城亘(演:反町隆史)が卒業。冠城に愛着がある人も多いはずで、さすがに新しい相棒探しは難しいと思われた。
しかし大方のそんな予想を裏切り、初代相棒・亀山薫(演:寺脇康文)が復帰するというビックニュースが飛び込む。
驚いたが、思えばこれ以上ない最適解だったと思う。亀山帰還の報道から初回放送まではまるでお祭りのようなワクワク感があった。


放送中は14年振りとは思えぬ過去の在籍時そのままの亀山薫、そして薫と右京さんの滑らかな掛け合いにホッとするような穏やかな気持ちにしてもらった。亀山と伊丹のお馴染みの口上も楽しくて。
自分自身はどちらかというと亀山以降の相棒の方が馴染み深いのだが(亀山期は再放送で滅茶苦茶観た)、やはり初代は格別なものがあると感じた。


「相棒」は複数の脚本家が執筆することで作品としての幅を担保しているのが特徴だが、それ故に完成度にバラつきが出やすい。三代目相棒カイト(演:成宮寛貴)の中盤辺りからそのバラつきが大きくなってきた印象があり、かなり心配していたが今シーズンは思いの外出来が良く、ストーリー面でも亀山帰還を祝うかのような安定感が喜ばしかった。
特に印象深い回は往年の相棒らしい小粒で締まった展開が光った「最後の晩餐」(でも脚本家は今年初めて参加した人というのが凄い)、相棒が交代しても長年応援してきたファンへのご褒美でもあった幻想的な話「再会」かな。
シーズン初期は傑作が多いだけに、亀山の帰還で戻ってきたファンからも概ね好評な印象を受けたのはシリーズをずっと観てきた単なる一ファンとしても嬉しかった。


総合的には非常に良かったものの、初回SPと最終回SPの出来が今一つだったのは実に惜しい。特に最終回に関しては1時間で済む話を浅い政治要素を入れて無理に引き延ばした印象で、前編で官房長ネタを絡ませて気を引いたものの肩透かしに終わり、2代目相棒の神戸尊(演:及川光博)らゲストの華やかさのみが実質見所だったように思う。ただ、初回・最終回いずれも相棒生みの親の脚本であり、正直シリーズの限界も感じてしまった次第...


それでも毎週相棒を楽しみに帰宅する感覚は久しぶりのことで、本当に嬉しかった(前のシーズンまでも勿論楽しんでいたけれど、自分の中の熱量が一段違った感じ)。
シリーズが終幕に向かっていることは水谷さんの言葉やストーリーから感じてはいるけれど、叶うことならまだまだ右京×亀山の相棒を観せて欲しい。
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