mako

しかたなかったと言うてはいかんのですのmakoのレビュー・感想・評価

4.1
太平洋戦争末期の1945年に九州大学で発生した米軍捕虜8名を実験体にした生体解剖事件。この生体解剖において主導的役割を果たしたと誤認された鳥巣太郎助教授の姪である熊野以素が戦犯裁判記録の他に再審査資料や親族の証言などを基に著したノンフィクション書籍を原作とした終戦ドラマ。

主演は妻夫木聡、その妻役を蒼井優。
本作では鳥居になってました。

この事件の事は知りませんでした。
戦争中の事とはいえ、倫理的に許されない事だと思いました。
命を救うはずの医師・鳥居が犯した罪。
鳥居は実験手術と知らずに参加し、その後上司にあたる医師・石田に中止と不参加を申し入れたが聞き入れてもらえず、その後もその手術にやむなく参加してしまう。
終戦後、この事件で逮捕され死刑判決が下された。

鳥居は事件当時、助教授だったのに裁判では首謀者の教授と認定され、不当な判決に妻は夫を救うべく奔走する。
B29のパイロットで捕虜だからやってもいいと言う軍と石田医師。

名前を知らない捕虜たち。だが裁判で名前を知りその捕虜にも家族がいたと認識し罪の深さを知る鳥居。

戦争だから仕方なかったといってはいけない、この言葉の重さ。

実験手術の中止と不参加を申し入れたものの、それ以上に抗うことをしなかった。自身がどうなろうと強く言えなかった自分にも罪があると、ある人物との会話で鳥居は思うようになった。
「なにもしなかった罪ということもあるんじゃないだろうか…」

私もこの言葉にハッとさせられました。
ただ、その当時逆らうことができない空気があり、よほどの勇気がなければ逆らうなんて難しいだろうと思いました。

観ていて辛かったけど、観てよかったです。

この夏、NHKで「映像の世紀」11回、「原爆初動調査 隠された真実」などが放送されていたので録画して観ました。
知らないことばかりで勉強になりました。
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