Kakutani角谷

新・オスマン帝国外伝 ~影の女帝キョセム~ シーズン2のKakutani角谷のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

英語字幕版で先取り鑑賞。

序盤、異国の王女ファリア関連のエピソードはつまらないし、太刀持ちを巡る恋愛話もグダグダだし、やたら登場シーンの多い悪役シナンは俳優に存在感がないし、主役のムラトは暴れん坊将軍みたいに無双しているだけ、でどうなるか心配しましたが、さすがトルコドラマ、終盤ものすごい力技を発揮してくる。
なんというメリハリ演出!!
本シリーズのテーマはオスマン朝の苛烈な歴史と慕情かな、というほど、キョセムに想いを寄せるケマンケシュが泣かせる。

シーズン1で定点となる魅力的なキャラはズルフィカールだったのですが、シーズン2のMVPは間違いなくケマンケシュですね。

最終話、キョセムの葛藤を描き、長きに渡って権力を握り続けた者が精神的に堕落してしまう過程もキッチリ描いたのが良かった。

終わってみれば観て良かったと思える地力のあるシリーズでした。

🇹🇷情勢も鑑みての補足感想。表面的にはムラト皇帝格好いい! 描写を取り入れて、保守派や当局の反感買わないようにしているのですが、ムラトの圧政・暴君ぶりも丹念に描いているところなど、国内の暴独裁者への皮肉にもみえて深読みすると面白い……

補足感想その2
トルコ事情にお詳しい方から、ムラトが男性好きであった、との情報をお聞きました。
🇹🇷では同性愛描写は禁じられていそうですが、スタッフがそれとなく表現するムラト×太刀持ち、ムラト×ユスフなどの関係、BL目線でもお楽しみいただけるかと。

スタッフがこっそりと描きたかったことは「独裁者や権力者はろくでもない」なので実にタイムリーなドラマになってしまいました……