ノラネコの呑んで観るシネマ

地獄が呼んでいるのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

地獄が呼んでいる(2021年製作のドラマ)
4.7
Netflix。
あっという間の6時間完走。
世界各地に三人組の謎の黒い巨人が現れ、天使に地獄行きの告知を受けた人間をリンチして殺すという事件が続発する。
前半三話、後半三話の前後編の構成で、主人公となる登場人物も入れ替わる。
人知を超えた現象を前にすると、人間はどうしても意味を与えたくなる。
前半は、事件を神の意図と受け取った人々が狂気に堕ちてゆく、「デビルマン」的な寓話。
後半は、その結果ナチズムの様な宗教が支配するディストピアとなった社会で、人間性の抵抗の物語。
黒い巨人も怖いが、もっと怖いのは結局人間というあたり、実にヨン・サンホらしい展開で、後半に行くに従って人間の醜さにブーストがかかってくる。
彼の作品の系譜では、前半部分は特に新興宗教をモチーフにした「我は神なり」と重なる部分が多い。
宗教の議長の気持ち悪さとか、独善性とか胸くそ。
いい意味でも悪い意味でも、キャラクターが立ちまくっている。
それでも「新感染」の大ヒットを経験したヨン・サンホは、かつての様な闇堕ちカルトシネマでは終わらせないのだが。
実に絶妙なところで綺麗に終わっているが、ラストの映像を見ると、シーズン2の展開が全く読めないよ。
ありゃ、いったいどういうことですか⁇