なっこ

ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○のなっこのレビュー・感想・評価

2.9
嫌いじゃない、ヒロインもヒロインのまわりの同僚たちも仕事内容も全て。なのに、なぜか腑に落ちない感じ、ざわざわする、どうしこの作品をしっかり推せないのか。
多分、裏テーマにある女性の生きづらさ諸問題を描きつつもうまく解消出来ていないように見えるからではないだろうか。そして、実はヒロイン凛々子のキャラクターが中性的であることが魅力なのに、女性である必然性がないからかもしれない。無垢な彼女の役を同じように無垢な男性が演じても良いだろうし、不器用で無垢なその人が仕事で仲間と呼べる存在を得て成長していく物語だったとしても大して変わらないだろうから。
あともう一歩、女性として踏み込んでほしい部分があったけれど、ちょっとサラッとうまくかわされた気がしてる。最終話にしても、被害者にとっては告発してからが大変なのにそこを描いていないところとか。いちいち誰かの痛みに寄り添っていたらテーマがぶれていくのだろうけれど。だからといって悪をきっちり叩くわけでもなく、記事にして終わり。あとは読者任せ。波に乗せればそれで終わり。その程度で良いのかな、いや良いのだろうなきっと。そのぐらいの誰も責めないふわっと感がテレビドラマでもワイドショーでもネットニュースの世界でさえも生き抜いていく秘訣ってことなんだろう。

※以下各話感想
#11 最終話 脚本 橋本夏 演出 石川淳一

#10 脚本 関えり香 演出 石川淳一

それを愛だと言われてしまうと全てが分からなくなる

ちょっと凛々子の気持ちが分かるな。
作家の夫を支える妻が信じていること、彼女が望み待っている未来は、愛だけを支えに期待している訳じゃないと思う。もっと複雑な何かのはず。だからこそ凛々子は、加えなくて良い真実を書かない判断をしたのだと思う。今季のドラマは、仕事と恋愛と、もっと大きな背景としての社会をうまく絡めてドラマ化してるように思う。ヒロインが信頼している上司の本当の目的は何だろう。次回で明らかになるのかな。予告編で生瀬さんが登場してたからちょっと嬉しい。
お仕事ドラマを好んで見るのは働いてるからかな。このドラマは、職場がその人のもう一つの居場所というか、生きる支えに、仲間になっていくようなお話だなと思った、以前はそんなのは茶番で好きじゃないと思っていたけれど、今回のstoryは何故だろう、嫌いじゃない。気が付いたらみんなを好きになってた、仁和さんも含めて。

#9 脚本 青塚美穂 演出 木村真人

書籍編集部の部長は津田さんなのね。野間口さんもいるし、なかなか濃ゆい会社だよね。作家さんと編集者。ようやく出版社っぽい話題だったな。

#8 脚本 橋本夏 演出 淵上正人

派遣切りに遭えば社会からあなたはいらない、と見放されたように感じるだろう。それでも、彼女がしたことは社会人として許される範囲を超えている。親ガチャは理由にならない。
今回は裏口入学と親ガチャ、根津親子の確執がテーマ。でも、私は凛々子が彼女に言い放った言葉、それは親ガチャではなく生まれた家によって将来が決まる社会構造を問題とすべきという発言を掘り下げて欲しかった。彼女はきっと大卒資格が欲しかったのではなく、大学生活を経験したかったのだろう。そうでなければ働く大学ですれ違う大学生たちに怨みを抱いたりはしない。
彼女はこの先どう生きていくのだろう、そればかり気になってしまった。

#7 脚本 青塚美穂 演出 木村真人

どこにでもありそうな物語。でも、だからこそどう書くか、が問題。

ありふれた話でも自分の身に起こったときに彼女のように折り合っていけるだろうか。どっからどう見たって男が悪い、でも一緒に叩いて家庭を壊したりするような話にならなくて良かったと安堵したのは何故だろう。どこかで身を引く女の美学を私も引き受けてはいないだろうか。信じた貴女は悪くない、悪いのは信じるに値しなかった男の方だ。私に出来ることはそれを一緒に忘れないでいることぐらいなのかもしれない。

#6 脚本 橋本夏 演出 石川淳一

虎太郎、お前もか。

回想シーンで彼がファインダー越しにヒロインを見つめる姿にキュンとしてしまった。ヒロインを好きにならない男子は登場しないのか。大人になった彼は、ヒロインの周りにいる男子の中でダントツ色っぽいと私は思う。
ヒロインの過去の事件は思ってたよりずっと切ない物語だった。死んでしまった彼女の言った「友達」の定義をぜひ、ヒロインの持っている辞書に載せてあげてほしい。友達と呼べないままのヒロインを、私も責めたくはない。赤いスニーカーと一緒にその心のざわざわを抱え続けた彼女の不器用さを私は、とても愛おしいと思った。

#5 脚本 関えり香 演出 木下高男

ようやく回ってきた紅一点戦力外の一本さんの回。実は一番楽しみにしてたヒロイン対決。
アスリートの性的画像問題や、心の問題、マスコミ対応への心的疲労など、スポーツが注目されればされる程起こる問題。今回のように、画像をアップする人たちだけでなく、それに群がりコメントをつける人たちの声も彼女を傷付けていたことはちゃんと考えなきゃいけないことだと思う。応援や共感などポジティブなメッセージより、批判や悪評の方がどうしても目立ってしまう。注目される人だから仕方ない、と言うのは簡単だがそうやって誰かが傷付いているのを容認していくことも優しさがない気がする。ネットで見かけた凛々子の記事を鵜呑みにしてしまう一本の感覚も実は一番怖い。ネットの書き込みだけで真偽を判断してしまうのは軽率過ぎるだろう。
この一件で一本さんの凛々子の評価は変わるのかな。まぁそこは、ゆっくり仲良くなっていってほしいな。急にベタベタするのも嘘っぽいからね、彼女を好きにならない人もこのドラマには必要。

#4 脚本 橋本夏 演出 木村真人

その人にしか出来ない仕事だらけだったら、会社も社会も成り立たない。だけど、他の人に出来ることであっても「あなたで良かった」と言われることは、確かにとても嬉しい。
厳密に突き詰めて行けば「自分にしか出来ない」ことなんて、本当は僅かなのかもしれない。
これはキミにしかできない、なんて甘い言葉で人を惑わすのはやめてほしいってことかな。やりがい搾取なんて残念な言葉もあるくらいだし。

#3 脚本 青塚美穂 演出 木村真人

途切れた糸の結び方
「誰かにとっては不都合な真実でも別の誰かにとってはかけがえのない真実」

“良い教師は言ってきかせる
優れた教師はやってみせる
最高の教師は、子どもの心に火を点ける”

この名訳は誰が書いたのか分からないけれど、名文だと思う。ヒロインはひとりずつ、仕事に向かう姿勢を変えていく。
誰にだって初心はある。難しいのは初志貫徹。働き続ける中で何を一番大事にしたいか、分からなくなっていくこと、それが問題。惰性で走り続けるよりも、折れた志を再び掲げてもう一度走り出す方がずっと難しい。

「事実をどう受け止めるかは相手次第
事実をどう伝えるかは私たち次第」

彼はどんな記事を書いたのだろう。
カンフルNEWS、読みたくなったな。

#2 脚本 橋本夏 演出 石川淳一

#1 脚本 関 えり香 演出 石川 淳一

仕事はクズじゃない、クズはそう思っている人
ザワザワする→見つけた

ヒロインを取り囲む男性陣が魅力的。面白くなりそう。
それにしても全てSNSからの情報であんなにも真相に近付けるものだろうか。彼女は人々がSNSで呟く言葉の真意に鼻が効くのかな。生瀬さんは大好きなので早々にいなくなってしまって残念。週刊誌10年分460冊掲載記事確認なら大した量じゃない。問題なのはデータベース化してないことと、バックナンバーをばらばらと段ボールに詰めちゃってるとこでしょ、廃刊になったらそんな扱いなのかな、悲し過ぎる。誰かのカンフルになる記事を書くって素敵なこと、そういう編集長の精神を受け継いで欲しい。ヒロインの持ち歩いている赤い辞典、年季が入ってて素敵。交わす言葉の曖昧さを回避したいんだろうね、変わってるのはそこぐらいかな、彼女の“知りたいこと”は何だろう。“約束”をしてしまうような関係の彼とはどうなっていくのかな。約束なんて相手に負荷をかけるもの、それなりの関係じゃないとしないものよね、確かに。
なっこ

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