きみどり

私たちのブルースのきみどりのレビュー・感想・評価

私たちのブルース(2022年製作のドラマ)
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ウォッチリストに入れっぱだったが、友人のおすすめによりやっと鑑賞(ありがとう)。

済州島に住む人々の悲喜交々なオムニバスドラマ。ここ数年で一気に目に付くようになった「済州島良いとこ一度はおいで」系のドラマかと思いきや…。

イ・ビョンホンとキム・ヘジャが演じる複雑な親子の物語が、素敵なヒューマンドラマにいきなり冷水を浴びせてきます(褒めてる)。
済州島のことをちょっとでも調べたら出てくるのが、血塗れの現代史と、過酷な地域間格差によって脈々と続く貧困の歴史。
キム・ヘジャは文盲の未亡人で、生活のため妾になり妻妾同居という環境で本妻の介護や家事労働をして生きてきた。それが彼女にも息子にも深い傷を遺している。
昔語りのシーンが「いくらなんでも」と言いたくなるくらい貧しすぎて引いてしまうんだけど、あれは繁栄から取り残された人々にとっての本当の物語なんだろうな…。一応、良いお話としてオチをつけてはいるものの、苦い苦い後味が残った(めちゃ褒めている)。なんと言うてもキム・ヘジャが上手いんだよ…。

ふつうのフィクションであれば添え物的な存在であるおばあちゃんたちが、物語の中心になるエピソードも多かった。そうだった、この世には本当に色んな人がいる。こんな当たり前のことでも、その都度きちんと確認しなくては、と思う。わたしはすぐ忘れてしまうから。
きみどり

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