ハンスウ

グレースの履歴のハンスウのレビュー・感想・評価

グレースの履歴(2023年製作のドラマ)
3.3
ドラマの登場人物がね、例えばね、ガンにかかったりしようものならね、必ずね、身内に秘密にするよね。これは、もう、ほとんど例外なく主要キャラが難病だと秘密にするんですよ。なんでだろ? そうするとドラマを作りやすいんですかね……?

このドラマはまさに最初からそういう設定を生かして? 話を作ってるんですけど、やっぱりどうしてもウソくさくて入り込めないものがあったですねぇ。でもキャスティングが実力のある俳優さんばかりで観ていられました。アイドルとか出てないんですよ。いや、元アイドルの広末は出てたけど、広末も良かったんですよ。

その病気うんぬんっていうのを使って合間にロードムービー的な設定で出会いとか別れとか再会とかがあって、最後がまさかの変則的な三角関係という展開。でも理性的というか常識的なところに落ち着いてしまうというラストだったかな。

で、これはなんなの? って思うと要は喪失と再生というありがちなテーマだったです。それをやるのにそんなまどろっこしいこと、よく積み上げたねっていうのはホメたいと思います。連ドラ8話の脚本を書くのも大変だなあとつくづく思わされました。

でもやはり、私が大病した経験があるものだから病気を秘密にするという連ドラのテンプレートに違和感を覚えるのかもしれないけど、重い病気が発覚した場合、医者はまず次回はご家族と一緒に来てくださいと言うんですよね。どうしても家族の力が必要だからなんですけど、このドラマの登場人物は家族を愛してるはずなのに秘密にして自分勝手に行動するんですよ。それが相手のためになると思っちゃてるんですよ。そういうところはやはり脚本家が自分の世界にひたってしまってるのかなあって思っちゃいましたね。

というわけで、病気を秘密にせずにドラマを作れる脚本家がいたらぜひ観てみたいものです。
ハンスウ

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