怪物
評判に違わぬ凄まじい作品。ダーマーを演じたエヴァン・ピーターズをはじめ役者陣の演技が怪物級にハマってる。特にピーターズの怪演っぷりが異常。モノホンにしか見えない演技に圧倒された。
聞いただけで吐き気を催す事件が題材だけあって精神的にタフな状態じゃないと完走するのが難しいシリーズ。あの悍ましい雰囲気が頭から離れない。そこらへんのホラー映画よりも遥かに精神を蝕んでくる歪さ。実話という事実がより一層心を抉ってくる。
タイトル通りダーマーの人生にフォーカスした作品ではあるものの、被害者や彼の周辺、家族など事件に影響を受けた人を描くことにより、今までの犯罪再現ドラマとは一線を画すクオリティ。特に被害者の日常を描いた6話は白眉の出来。このエピソードで被害者の無念さや苦しみを視聴者が味わうことで、視聴者のダーマーへの憎しみや怒りが頂点に達しダーマーを一種の(そしてある一部の人間にとっての)ダークヒーローに祭り上げられることを防ぐ仕掛けになっていたと思う。
また、ダーマーの事件から繋がる有色人種への差別や警察への不信感など、残念ながら現代にも通ずる問題を正面から描くことによってあえてこの時代にダーマーを題材にしたシリーズを制作した意義を感じた。
