ワイカ

罠の戦争のワイカのネタバレレビュー・内容・結末

罠の戦争(2023年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 政界のパワーバランスとか人間模様とか議員会館のセット(?)とか、それなりにリアリティを追求してます。特に議員会館のセットは本物にかなり寄せてます(しかし普通の議員の部屋は関係者が入ってきやすいようドアは開けっぱなしのことも多いし、訪問者でピンポン押す人はよほどの初心者のみ)。

 ミステリー要素も途中まで犯人が分からず、次の展開が気になるつくりでした。なかなかよくできた面白いドラマでした。

 そして発端の事件が解決(答えはちょっと迫力不足)した後の終盤は、草薙くんが急にダークサイドに落ちちゃったり、かなりぞくぞくするような展開。それを通じての最終話はおーって感じで、これは地上波の民放ドラマとしてはイケてる部類と思いました。

 が、しかし、普通に脚本はツッコミどころ満載。事件初期の段階で、しかも裏に何かある疑いが持たれてなかった段階で、親分の政治家が被害者の親である秘書に「何もなかったことにしろ」とわざわざ言うなんて、それ自体が裏に問題があるから追及しろと言ってるようなものでは。

 政治家への陳情は確かにいろいろあるだろうけど、会社経営が厳しいからどうにかしてくれってのはさすがにどうなのかと。それに対応しなかった政治家を恨むのは完全な逆恨みでしょう。選挙シーンは安っぽくて残念な感じ。週刊誌の記者はこんなにかっこよくて万能ではないと思う。

 与党の総裁である総理と幹事長が仲悪いってのも、もちろん裏ではいろいろあるだろうけど、そもそも幹事長の人事権は総裁にあるのだから、嫌いな人を幹事長にはしないでしょう。派閥の力学でこのような構図になってるなら、幹事長のおかげで総理になれた的な(菅義偉さんみたいな)説明がないと無理を感じます。

 そして、いくらいろいろあっても新人議員がいきなり首相補佐官にはなれないと思います。

 さらに、最後に首相が不祥事で引退を発表するときは、さすがにぶら下がりではなく正式会見をするのでは。
 
 …などなど、日本の民放ドラマらしい粗やご都合主義は多いけど、やはり子を持つ親としては、子供を傷つけられたらどんな思いをするかとか、そういうところに感情移入。その意味でもなかなか良いドラマでした。

 キャストは岸辺一徳と井川遥を中心にみんな素晴らしかったです。特に秘書陣は妙に地味なルックスの女性と、植物オタクの男の子の終盤が良かったな。
ワイカ

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