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透明なゆりかごのヘイヘイのレビュー・感想・評価

透明なゆりかご(2018年製作のドラマ)
4.9
『ここは、生まれる命と消える命が絶えず交差する場所』

産婦人科で起こる”命のお話”なので、
観る時のタイミング、また人によっては観るのが辛いって方もいると思います。

なので、どんな人にも無条件でオススメできます!!とは言えないんですが、自分は第1話の初っ端10分。主人公(清原果耶さん)の頬を伝う涙で一気に心を持ってかれました😢もうそこからは、毎話うるうるうる、、


第1話の冒頭、衝撃的な言葉で始まります。
主人公アオイは、院長から90年代の3大死亡原因を聞かれ、悪性新生物(がん)、脳血管疾患、心疾患です、と答える。

これに対して院長は、
「教科書だったら正解。だけど、本当の1位はアウスだよ。」と。ん?アウスって?

アウスとは、ドイツ語『Auskratzung』の略語。子宮内容除去手術を意味し、日本語では人工妊娠中絶手術の事を指す医学用語。
自分はこの作品で初めて知りました。

そして、アオイはバイト初日から人工中絶の手術現場に立ち会うこととなるのだが…
※ここまで冒頭15分、濃ゆい。。

こんな感じで、その後にも結構重めのエピソードが毎話待ち構えている。のだけれど、その向こう側には希望が透けて見えるところがよき✨

<2話>
•I型糖尿病の女性が奇跡的に妊娠。自分の目が見えなくなってもいい。それでも産みたい、という願うのだが…
•家族にも打ち明けられず自宅の風呂場で出産した女子高生。

<3話>
事あるごとに難癖をつけてくるクレーマー妊婦。でも、その人にしかわからない事情があって…

毎話ほっこりもするし、その一方で辛い現実が突きつけられることもある。

と、これだけ聞いてると、やっぱりとてつもなくヘビーそうですが、それより何より出てくるベビー👶達がとっても可愛い!ので癒されたりもします。

赤ちゃんあるあるがたくさんで、自分も”あぁ〜あるある〜”と。( ・∇・)

そう、出産っていざ当事者になってみないとわからないことだらけ。
自分もなんとなく、妊娠して陣痛がきたら赤ちゃんが生まれきて、そのまま家に連れて帰るんだろうなぁ〜と簡単に思ってました。

現実には、妊婦のうち約15%が22週までに自然に妊娠が終了してしまう「自然流産」を経験するそうです。

特に、染色体異常がある場合は妊娠12週までに流れてしまうことが多く、流産の約80%がこの「早期流産」といわれています。また、正産期以前に産まれてしまう「早産」の場合、たとえ産まれたとしても赤ちゃんに生きる力がなく、亡くなってしまうケースがあるのも現状です。
※teniteoのサイトより抜粋して引用


私の場合、妊娠21週で妻が自宅で破水し、即入院。(この時、なぜそうなったのかは検査もしたけれど原因不明)

少しでも長くお腹の中に居られるように、羊水が出て行かないように、と24時間ベッドでの絶対安静が必要な状況になりました。

それでも、毎日少しずつ。砂時計の砂が落ちるように羊水はちょっとずつ減っていく。
タイムリミットが近づいてくるようで焦る。
結局、26週の時点で遂に羊水の推定量が限界値となり、陣痛を誘発する薬を投与して緊急分娩となりました。

分娩時はなんだかよく分からないまま、「一旦出てください」と分娩室からいきなり出され、その後は2時間近く壁1枚隔てられた廊下で待っていた中、ただただ無事に生まれてくることだけを願っていた気がします。

泣き声もしないまま、先生達だけがぞろぞろ退出していく中で、あぁだめだったのか。

と諦めかけた瞬間、看護士の方が出てきて「娘さん産まれましたよ!」と。

出産時の体重は895g、超低出生体重児であることは後から伝えられました。
産まれた直後は、手のひらと同じくらいか、それよりもちっちゃい位で胸には呼吸器がつけられていましたが、ちゃんと心臓がぱくっぱくっと動いてました。

生まれてすぐに輸血や今後の手術のリスクに関する?同意書に署名を求められ、よくわからないままとりあえず名前だけ書きました。生育限界ギリギリでの出産であったため、発育の問題や将来的には何らかの障害が出てくる可能性が何倍も高いということは、出生後まもなく宣告されました。

この時、当たり前だけどとても手慣れた説明だなぁっと思ったことだけ覚えてます。
でも、その時は生まれてきてくれただけで嬉しかったのです。

医学の進歩と共に生育限界は段々と短くなり、1953年には妊娠28週、1990年には22週に定められました。ちょっと昔だったら、助からなかった命も今では救うことができることに本当に感謝してます。

その後、NICUとGCUには4ヶ月入院。
4ヶ月の間、一昨日は隣の保育器にいた赤ちゃんが突然いなくなったりすることも日常茶飯事。その度に、あぁここはそういう世界なんだ、と痛感させられて不安になったり。

娘は退院する前に、早産の影響で肺が未成熟であることがわかって「慢性肺疾患」の診断が付き、退院後は1年間酸素呼吸器をつけてました。

外出する時も酸素吸入が必要なので、重たい酸素ボンベのリュックを持って外出。
夜は酸素濃度を測る機器を足裏につけて寝かしつける。ちょっとズレたりするとピーポピーポ鳴って飛び起きる。

そんな手の掛かりまくった、りの様も今ではすっかり元気、めっちゃ喋る。
生まれたとき、あなたの両親はどんなに大変であったか、早く教えてあげたいものです💦(しみじみ)

かなり脱線しましたが、
主演の清原果耶さんのあの「目」。
ほんわかしてる時の目、命を蔑ろにする人に対しての蔑むような目。いい女優さんだなぁと。

各話で登場する妊婦役の平岩紙さん、田畑智子さん、モトーラ世理奈さん。脇を固める原田美枝子さん、酒井若菜さんたちもほんと素晴らしい😢

また、原作者の沖田×華さんは、バックグラウンドが色々とある方なので、要Wiki参照。
この物語にも影響してる所が結構あるのかなぁと。

と色々書きましたが、
前述のとおり万人にオススメはしないですが、観る価値のある作品だと思ってます。
(のでぜひ✨)←やっぱり薦めてしまう。

これからお父さん、お母さんになる方は、これからの”未来の予習”として。

今子供がいる方は、この子もあの時は赤ちゃん赤ちゃんしてたなぁって。あんなことやこんなこともあったなぁっていう”振り返り”として。

そして、”わたし”のお母さんに
ありがとう、と。
ヘイヘイ

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