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EVOL(イーヴォー)~しょぼ能力で、正義を滅ぼせ。~のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.3
現実に絶望し自殺を図った3人は、目覚めるとそれぞれの体に異能の力が芽生えていることに気付く。
それらの能力はヒーローと呼ばれる者たちに、代々遺伝によっての受け継がれてきた、“正義の味方“しか持ち得ないはずのもの。
意気投合した3人は、この世界を壊すために“EVOL=邪悪なワルモノ”になることを選び……。
現在、原作の「EVOL(イーヴォー)」は「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)にて連載中。作者のカネコアツシは、90年代からマンガ・イラスト・デザイン・アート・映像など多方面で活躍。アメコミのようなスタイリッシュなタッチの「BAMBi」「SOIL」「デスコ」「サーチアンドデストロイ」などの作品で、国内外のアーティストにも多大な影響を与え続けてきたトップクリエイター。最新作の「EVOL(イーヴォー)」は、現実を想起させるリアルで過激な内容。正義ヅラした<不寛容><無関心><理不尽>が蔓延する世界にNOを突き付ける10代の姿は、まさにいま描かれるべき物語として、多くの熱烈な注目を集めている。

【指で小さな穴を開ける能力】を持つことになったノゾミ役を演じるのは、話題となった、TVドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」のほか、TVドラマ「往生際の意味を知れ!」や映画『まなみ100%』(9/29公開)など、去年と今年で6本の主演作が公開となる注目の俳優・青木柚。【手のひらから火を出す能力】を持つアカリ役は、4歳より俳優活動をスタート、NHK連続テレビ小説や大河ドラマにも出演。『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(23)への出演も記憶に新しい伊礼姫奈。【5cmだけ空を飛ぶ能力】を持つサクラ役は、映画『ミッドナイトスワン』(20)で俳優デビュー。日本アカデミー賞新人俳優賞や日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞した服部樹咲。「正義とは何か」を問いかけるヒーロー・ライトニングボルト役は、数々の話題の映画やドラマ、CMに出演し際立った存在感で魅了する金子ノブアキ。ライトニングボルトの妹で【手のひらから電気を出す能力】と【空を飛ぶ能力】を持つヒーロー・サンダーガール役は、映画やドラマへの出演を着実に重ね、高い演技力が評価される芋生悠。ノゾミの母親役を西田尚美、アカリの母親役を占部房子がそれぞれ演じる。アカリの父で警察署長でもある土屋広美役は、今や名バイプレーヤーとしてドラマや映画に欠かせない石黒賢。ヒーローがいる街の市長役は、長いキャリアの中で硬派な役から個性的な役まで幅広く演じている安田顕が演じる。
監督は、数多くのMVやTVドラマ「正しいロックバンドの作り方」、根本宗子原作の映画『もっと超越した所へ。』(23)などで注目を集める山岸聖太。制作は、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『最後まで行く』など、「映像化不可能」とも思える作品を数多く成功へと導いてきたROBOTが担当している。

ひと言で言うと、和製「ザ・ボーイズ」という感じで、カジノを中心とした総合型エンタメ施設や原発の誘致で私腹を肥やす市長に支配されている地方都市を舞台にイジメや家庭での虐待などで世界に絶望した3人に能力が覚醒しヴィランとして覚醒するまでを、イジメを受けたノゾミや両親がヘイトスピーチの犠牲者になったサクラや厳格な警察署長である父親に虐待されているアカリのオリジンをじっくりと描きつつ、いつも脚光を浴びるライトニングボルトに対する嫉妬や歪んだ選民意識を持つサンダーガールの闇を抱えたオリジンをじっくりと描いているので、特撮がしっかりしているバトルシーンや伊礼姫奈などの若手俳優の熱演も含めて、ユニークなアンチヒーロードラマとして楽しめる。
ノゾミたちが、なぜ能力に覚醒したかなどの理由などの謎が明かされるシーズン2が待ち遠しい。
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