midored

謎の円盤UFOのmidoredのレビュー・感想・評価

謎の円盤UFO(1970年製作のドラマ)
5.0
円盤にのってくる謎の宇宙人と戦う英国製スタイリッシュSFドラマ、あるいは、スパイドラマの要素も入っている大人向け人間版サンダーバードです。舞台は1980年のロンドン。近未来の設定です。

ただし、宇宙人と戦うといってもスターウォーズのような奇想天外な宇宙人は出てきません。宇宙人は一貫して謎のまま。どちらかというと冷戦時の敵スパイとやり合うような、姿の見えない不気味な存在と戦うスタイルです。

宇宙での戦闘シーンも割と地味です。じゃあ何が面白いのか。どこが見どころなのか。

専門用語を淡々と連発しながら、ロンドン本部・海底・人工衛星・月に配置された各部署が連携して任務遂行する様子が妙にかっこいいのですね。もちろん人工衛星を管理しているのが名前付きの人工知能というのも痺れます。

イギリスの空のような薄暗さを感じるシリアスなストーリーふくめて、これは『宇宙家族ロビンソン』でもなければ『Dr.フー』でもなく、あくまでも大人向けのエンタメなんだぞ!という意気込みに満ちているのが特徴かと思います。それでも、どこかしらトンチキなのが自分は好きです。

例えば、月面基地に常駐する女性隊員たちの「華麗なコスモルック」があります。紫色のボブヘアーに銀色のピタピタスーツ。なぜそんな格好をしているのか何も分かりません。しかし、魅力的です。エリス中尉は今見ても素敵です。

潜水艦勤務の隊員たちが着てる網にも驚きます。何の意味もなさそうです。

70年代丸出しのレトロフューチャーなメカと衣装とインテリアおよびプロダクトデザインは見てるだけで目にも鮮やかで楽しい。

毎回シャドーの組織解説をしてくれるリズミカルで派手なオープニングも見ものです。「冷静沈着なストレイカー最高司令官」「ムーンベースは月面基地」はクセになります。そして打って変わった無音のエンディング。これは宇宙人が地球にそそぐ不気味な視線を表しているのでしょう。

これまでどこにも配信がなかったのですが、気づいたらアマプラのオプション「スターchannel EX-DRAMA&CLASSICS」で配信がはじまっていました(2023年現在)。デジタルリマスター版なのか映像もクリアで、日本版ではカットされたシーンもあり嬉しい限りです。

ちなみに、準レギュラーのレイク大佐はベネディクト・カンバーバッチ氏のお母様です。あと、ストレイカー最高司令官はエヴァンゲリオンの碇ゲンドウのモデルとも言われております。
midored

midored