毎度毎度閉口する放蕩男になぜか離れられない蝶子との、あんな事やこんな事のお話。
なんというか、今のご時世では絶対にテレビでは放送できないような内容で、でも作品として、お話としてとても懐の深い、見終わった後ほっとする内容だった。
画づくりも拘られており、一枚一枚が静止画として観ても美しい。
尾野真千子さんの演技ははじめはくねくねした感じが個人的に受けつけなかったが、徐々に引き込まれてゆく。
苦労に苦労を重ねながらそれがふいになった時の涙、どうしようもない無理が重なった時の涙が、しっかり者の蝶子と放蕩男の柳吉の頬を濡らす瞬間。
はよ別れたらいいのにと、観てるこっちがやきもきしても、何度も別れそうで別れない。
案外、人間てこんな風にしてくっついていくのかなと、正論やセオリー通りのサクセスストーリーや生き方、倫理観に、今一度石を投げかける作品。
ライスカレー、美味しそうだったな。
火野正平目当てで見始めて、全部観てしまった。
傑作です。