めしいらず

dinnerのめしいらずのレビュー・感想・評価

dinner(2013年製作のドラマ)
3.5
ドラマとして瑕がない訳じゃない。超一流店であるはずのロッカビアンカの超一流の従業員たちであるはずなのにとてもそれが信じられないくらい意識が低いことだとか、第一話で病に倒れた料理長辰巳への目配せが最終話まで殆どないだとか、店の傾いた財政の皺寄せを一従業員が一人で背負いそのことに支配人たる辰巳の娘すら気付いていないだとか、素通りできない違和感が其処此処にあるにはある。けれどもお仕事ドラマとしてシンプルにして出色だったと思う。だから個人的にはすごく好き。各エピソードで従業員たちが店に持ち込むトラブルに対して、倒れた辰巳に代わって招聘された新料理長江崎がにべもなく言い放つ辛辣な言葉が悉く問題の本質を突いていて目を開かされるようだった。例えば第一話、江崎に怠慢を指摘されて従業員たちが”料理にかける愛情”や”家族的なチームワーク”を盾に言い訳したのに対して「愛情ってどんな味がするんだ?」と返され黙らされるなどまさにそれである。そして料理にかける愛情の本当の意味に私たちも気付かされることになるのだ。仕事の中で迷い悩みを抱えているあらゆる人に何かしらの示唆を与え、各々の仕事に取り組む姿勢について内省を促すだろう説得力がある。仕事の中で己を試される場面にぶち当たった時、逃げたり言い訳や不満を語るのは必ず二流以下であり、一流は己を高めるチャンスがやって来たと却って喜ぶ。仕事に心酔し切った江崎のキャラクター設定がとても魅力的。また美味しそうな一皿一皿には目を奪われること必至。
めしいらず

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