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シグナルのmayumayuのレビュー・感想・評価

シグナル(2016年製作のドラマ)
4.4
遅い夏休みを取った。
本当に心身疲れていたみたい。自然の中で家族と過ごす。
生憎の天候でろくにアクティビティは出来なかったが、
風や木のそよぎ、雲が流れていき虫が鳴く。そんな朝、テラスでコーヒーを淹れて飲む。それだけで何かが回復するのを感じた。

宮部みゆきの「昨日がなければ明日もない」を読んだ。滅茶苦茶読後感が悪かった。
面白くない訳ではない。
あまりに現代的でリアルな事件の背景が、何とも言えずやりきれない。主人公の私立探偵と共にただ寄り添い、泣くしかない‥?
理不尽に感じてもただ現実に寄り添うしかなかった私の8月9月に少しだけ似ていたのか。
心が回復したからリアルでやりきれない話にも耐えられたのか。

帰ってから、シグナル韓国版オリジナルを観た。
古いトランシーバーで過去と現在の刑事が度々繋がり、
未解決かもしれなかった事件を解決しよう・防ごう・謎を解こうとする。
事件とも、お互いとも浅からぬ縁の3人の刑事。
プロファイリング専門の現代的な若者。
古き時代の正義感に溢れた熱血刑事。
かつては若く頼りなかったが現在はベテランであり有能な女性刑事。

花郎を観た時も思ったが、韓国ドラマは尺も回数もたっぷり。
事件や人の背景をゆっくりと描き出す時間がある。
3人の刑事はもちろん、それぞれの人生の苦悩。
とても厚みのあるサスペンスだった。
事件がかなり陰惨悲惨なので、きっと精神的に辛い時期には観られなかったかもしれない。
熱血刑事役のチョ・ジヌンはこのドラマで賞をとったらしいがさもありなん。
やりきれない事件は読んだ本と一緒だったのだが、このドラマの3人の刑事の
「自分の手の届く周りのものだけでも救い出し、罪を明らかにし、諦めないのだ。
自分が諦めないことが、未来の解決につながるのだ」
と言う強い覚悟がずっしり来るドラマだったと思う。
職種は違うが、私も全てに手は届かなくても、
自分のところに来た方は懸命にできるだけのことをしようと思った。
そんな勇気がもらえるドラマだった。
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