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青い鳥のtubameのレビュー・感想・評価

青い鳥(1997年製作のドラマ)
3.7
田舎の小さな駅で駅員をしていた理森がかほり・詩織 母娘と運命的な出会いをし、共に本当の幸せを探す大人の童話。


家族が好きだった作品なのでタイトルと大筋は知っていたけど、観るのは初めて。
人妻との不倫の恋を描いている上、後半以降の大胆な展開を考えると現代では作るのが難しいドラマかなと思う。
ただ個人的には倫理的にどうこうより、かなりツッコミどころが多い話だなーという印象を受けた。よく言えばおおらか、悪く言えば抜けてる登場人物たち。それでも全体を取り巻く儚げで陰鬱な雰囲気は心惹かれるものがあったし、作品自体に勢いがあってだれることなく完走できた。


主人公の理森役・豊川悦司ことトヨエツ、この頃人気絶頂だったようだがスタイルがもうびっくりするぐらい良い!体の殆どが足では?と思うくらい足が長くて、線が細くて見栄えがする。
globeの主題歌に合わせて、毎回先の展開を思わせるオープニングが流れるのだが、完全にトヨエツのPVである。「豊川さんに鎖とか良くない!?」とか盛り上がって作ったスタッフの姿が見える様(その上滅茶苦茶中二病っぽい演出なのでニヤニヤしてしまう)。
正直演技はあまり...というか棒読みなんだけど、それが木訥な主人公によくハマっていて、どこか寂しげな雰囲気は作品のカラーにピッタリ。
その他の配役も良く、薄幸の美女ぶりが印象的な夏川結衣(かほり)、可愛らしくて無邪気な鈴木杏(詩織)、嫉妬と劣等感と歪みの芝居が秀逸な佐野史郎(かほりの夫)、大人びたミステリアスな山田麻衣子(成長した詩織)など、誰もかれもよく選んだなと思う素晴らしいキャスティングで、ドラマのヒットはこの時点であらかた約束されていたのではないかと思う。


好きなシーンを挙げるなら、夏祭りかな。前半は吉森とかほりが互いに惹かれあっていく過程が繊細に描かれていて、終わりが見えている破滅的な許されざる恋にドキドキ。後半の展開については当時から賛否両論あったようだが、自分としてはオープニング映像をみるに最初から吉森と詩織の物語という意図があったのだろうと感じていたので、嫌いではないかな(ラストシーンはあんまり納得いってないけど...)。


唯一無二の空気を纏ったドラマとして、これからも印象に残り続ける作品になる気がしている。
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