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五星戦隊ダイレンジャーのtubameのレビュー・感想・評価

五星戦隊ダイレンジャー(1993年製作のドラマ)
4.4
6000年の眠りから目覚めたゴーマ族と戦うため、ダイ族・道士のもとに集められた若者たちが気力を操り戦う物語。


面白かった!!たまたま東映YouTubeで配信が始まったので何の気なしに観始めたけど、物語に引き込まれ、気がつけば毎週の楽しみに。本当観て良かったな~と思う。


中国拳法を採り入れており、全編に漂うオリエンタルな雰囲気がいい。五人の変身後の姿も龍・獅子・天馬・麒麟・鳳凰がモチーフなのもロマンしかない。紅一点のメンバー、リンも中国からの留学生だし、各々のロボを呼ぶ時は球体を使う。合体したダイレンオーの必殺技のバックには南画らしきものも。
しばしば子どもが真似出来ないとネタにされるダイナミックで複雑なキビキビした動きの名乗りがカッコいいのは勿論のこと、戦闘中も長いロッドやフリスビー状の剣(名前が分からない...)を使ったアクションが独特でとても見映えがする。かつそこに遊び心満天の魔法のような気力の演出が入るのでもうアクションシーンが楽しくて仕方ない!普段は比較的俳優のドラマパートが好きな自分も夢中になった。


ダイレン側が世界観が統一されている一方でゴーマのビジュアルや設定は和洋も採り入れた自由度の高いもので、それはそれで枠に囚われないのびのびした雰囲気が興味深かった。面白ければ何でもよし!


ストーリー面では王道のヒーローもの...と見せ掛けてシリアスでハードな展開が結構多く、かなり攻めた作品だった。本筋+5人のサブエピソードが進行する作りだが、各キャラクターにそれぞれ個別の脚本家がつき、物語のブレがなかったのは画期的。そのため各脚本家のカラーが色濃く出て面白かった。リュウレンジャーの亮のエピソードは愛憎や男同士の濃すぎる交流とか独自色が強くて、明らかに井上敏樹の執筆と分かり笑ってしまった(なお、本作はジェットマン出演者の準レギュラー率が高い。ファンは嬉しいかも)。
ただ、シリアスなだけでなく思わず笑ってしまうようなコミカルな話も沢山あって、バランス感覚が抜群!伏線をしっかり回収する緻密なところと、いい意味で子ども番組ぽいガバガバな緩さもあり、いいとこ採りの印象。子ども大人も楽しめる作品を訊かれたら上位に挙げたい。


凄く楽しい作品なんだけど、いかんせんジェンダー感が古くて、男子小学生のコウからリンに対してのセクハラシーンが出てくる(最初にの方だけだけど)のが数少ない欠点かなと。昔の作品あるあるのお色気シーンなんかは気にならないけど、無邪気な子供の表現としてやらせてる(かつリンがあんま抵抗しなくておとがめなし)のが不快指数高めだった...苦手な方はお気をつけて。


つらつら書いたけど、兎に角シンプルに「カッコいい」がぎっしり詰まった作品。最終盤の急展開にはただただ圧倒されたし、単なるヒーローものに留まらない壮大で哲学的な結末に心を掴まれた。(今までの49話なんだったの?!と画面の前で声が出たけど...)
いずれまた見返したいと思う作品だ。
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