midored

拝み屋怪談のmidoredのレビュー・感想・評価

拝み屋怪談(2018年製作のドラマ)
3.0
東北で拝み屋をいとなむ青年が体験する不気味な出来事を、オムニバス形式で淡々と描くドラマです。

以前、怪奇コレクターシリーズで原作者郷内心童氏の語りを視聴しました。原作も数冊読みました。ノスタルジーと奇譚が渾然一体となったリアルな語り口で、他の実話怪談師とはひと味違う独特な世界を持った方です。

郷内氏は実際に拝み屋として食べている方だそうで、世の中には実に色々な職業があるものだなと改めて思います。

さてドラマの感想です。

正直、失礼なクライアントばかりで見ていて少し疲れました。社会の周縁部に属する世界だからなのか、あるいは精神的に追いつめられると、人間礼節を保てなくなるからなのか。日々、狂気すれすれの人たちを相手にする職場としてはなかなかリアルです。

ある日、ドラマ内の郷内氏が先輩から説教くらいます。拝み屋の仕事は霊能力や幽霊が本物かどうか決めることではなく、あくまでも依頼人の問題を解決してやることなんだ、そこを間違えるなと。拝み屋が共同体の中で、一種のカウンセラーとして機能していた頃からの伝統を思わせて興味深いセリフでした。

かといって依頼人の精神的成長を見守ったりするような、手垢のついたお涙頂戴路線はまったくありません。全体的に、耳袋のように、ひたすら訥々していて奇妙で、どことなく不穏な郷内氏の本の雰囲気をよく再現しているように思いました。

もしかしたら不動明王真言はご本人でしょうか。声がそっくりでした。もしそうなら、その辺りの気の使い方がまたリアルです。
midored

midored