真田ピロシキ

逃亡料理人ワタナベの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

逃亡料理人ワタナベ(2019年製作のドラマ)
3.4
リチャード・キンブルが料理人になったようなグルメ旅番組もといサスペンス風料理ドラマ。妻を刺した容疑で逃亡する三つ星料理人ワタナベが東京から西へ西へと逃げる中で出会う人達の悩みを食べ物で解決していく。ロケーションは伊東、京丹後、淡路島、神石高原、北九州の5ヶ所。それぞれ前後編構成で合計10話。ワタナベが答えを教えるのではなく、各々が見出していく風に描かれているのが良い所。これはワタナベ自身が家族や一流料理人としての慢心への後悔を抱えて逃げているのを重ねられているのだと思う。そういう意味では淡路島の兄ちゃんは自分の力で新しい淡路牛料理を作らないといけないはずなのに人に頼りっきりで、このエピソードは劣る。ここは色々とイベントが多くて物語る余地がなかったんだろうけどね。

グルメ番組としてはワタナベが作るものだけでなく、ワタナベを追うグルメ刑事 出口の名店巡りや同じく追う謎の中国人パティシエ イーリンのスイーツもあってボリュームが多い。前後編で違った料理を見せられるのだけど、北九州ではまさかの寿司被り。しかも前編ではオリジナリティ溢れる寿司なのでオーソドックスな後編が最終回なのに見劣りしてしまうのは残念。物語的には〆のやっとで握った玉子を出す事に意味があるのだが、前編にも寿司を出した意味は分からなかったなあ。

日中合作らしく、メインキャストに中国人が2人いる。主役が池内博之さんなのはドニー・イェンやジャッキー・チェンと共演した実績を買われて中国市場にアピールでしょうか。炸裂する脳内妄想シーンでコメディ要素を高めるも、この人の顔はやはりシリアス向きだなーという印象が強い。全体的に緩いのでさほど気にはならないが。エンドクレジットは何気に凝っていて楽しめる。気楽に見始めるにはちょうどいいドラマ。