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オリエント急行殺人事件のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2015年製作のドラマ)
5.0
昭和8年2月。下関港に一人の小柄な男がいた。勝呂武尊(すぐろたける)(野村萬斎)。 
日本全国を震撼させた「いろは殺人事件」を解決し、一躍有名人となった名探偵である。 
小倉の軍事施設で起きた殺人事件を解決した勝呂は、これから下関駅に向かい、特別急行東洋に乗ろうとしていた。 
特急東洋は、下関と東京を結ぶ日本初の寝台付き列車。皇室関係者や政府の高官も利用する最新鋭の超豪華列車。ところが2月だというのに、特急東洋の寝台は満席。たまたま下関で再会した鉄道省の役人・莫(ばく)(高橋克実)の計らいにより、勝呂は無理やり一等寝室を確保してもらう。朝、下関を出発する特急東洋。東京に着くのは翌日の朝である。 
食堂車で勝呂は、実業家・藤堂(佐藤浩市)から身辺警護を頼まれる。だが彼の横柄な態度に勝呂は申し出を拒絶した。 
翌朝、岐阜の山中で、大雪のために列車は身動きが取れなくなっていた。その中で、藤堂が客室内で他殺体となって発見される。 
莫は、勝呂に協力を依頼。状況証拠から、犯人は寝台車の乗客の中にいると判断した勝呂は、線路が復旧するまでに事件を解決してみせると約束する。 
勝呂は、犯人の動機は「復讐」であると推理する。莫と医師の須田(笹野高史)を助手代わりにし、車掌の三木(西田敏行)を使って、寝台車の乗客12人を1人ずつ尋問していく。 
その12人とは、身分も職業も全く違う人々。被害者の秘書・幕内(二宮和也)、執事・益田(小林隆)、おしゃべりなマダム・羽鳥夫人(富司純子)、 教会で働く呉田(八木亜希子)、轟侯爵夫人(草笛光子)、外交官の安藤伯爵(玉木宏)、安藤伯爵夫人(杏)、能登陸軍大佐(沢村一樹)、 万年筆の販売員・羽佐間(池松壮亮)、博多の輸入自動車のセールスマン・保土田(藤本隆宏)、家庭教師の馬場(松嶋菜々子)、轟侯爵夫人のメイド・昼出川(青木さやか)。 この中に犯人は必ずいる。警察の助けは一切ない。科学捜査もなかった時代。 勝呂は、容疑者たちの証言だけを頼りに、次第に真相へと近づいて行く。 
長い尋問が終わるころ、灰色の脳細胞を駆使し、名探偵・勝呂は、ある解答にたどり着く。 
それは、誰もが想像し得なかった驚くべき結論。 そして、第2夜は、三谷幸喜のオリジナル。犯人の視点で再び事件を振り返り、犯行に至るまでの経緯を丹念に描く。 
それは綿密な犯罪計画に裏打ちされた、驚異の復讐の物語だった。 
アガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」を、日本に舞台を移して三谷幸喜が見事に翻案したサスペンスミステリードラマ。
ポワロこと勝呂探偵が、十二人の乗客を尋問する中で、十二人の乗客と5年前に起きた悲惨な誘拐事件そして剛力家との関係が浮上し、アリバイを補填し合い身分を偽り合い証拠が多過ぎる犯人の正体や事件の真相究明していく第1夜の緻密でスリリングで見事なサスペンスミステリー。
誘拐事件の顛末、そして剛力家の関係者がどのように集結し、殺害計画と準備をどのように立てて実行したかを、まるで昭和版忠臣蔵のような三谷幸喜お得意のユーモラスなサスペンスタッチで描かれていく第2夜。
優れた頭脳の名探偵勝呂がはまっている野村萬斎を始めとする演技派俳優のアンサンブルが、三谷幸喜お得意の演技合戦そして群像劇として楽しめるし、ハプニングだらけの殺人実行の顛末もユニークで、見事なオチも含めて楽しめるサスペンスミステリードラマ。
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