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ニュー・ポープ 悩める新教皇のmiumiuのネタバレレビュー・内容・結末

ニュー・ポープ 悩める新教皇(2020年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ジュード・ロウが初めてドラマで主演を務めた『ヤング・ポープ』の続編。

前作のラストで倒れ、レニー・ベラルド=ピウス13世が昏睡状態になったのを受けて、新教皇が選ばれることに。
新教皇サー・ジョン=ヨハネ・パウロ3世を巡るドラマが描かれるシーズン2。

ジュード・ロウは製作総指揮も兼任。
とにかくクリエイターのパオロ・ソレンティーノの、全話を俯瞰した演出が上手すぎて唸ってしまった。(だからスコアは5.0。本気で天才だと思った。)

前半は新教皇を誰にするか、新教皇が決まったうえでどんな立ち位置で関わるのかの、バチバチな政争ドラマ。前作より分かりやすく俗っぽく、ある意味見やすい。
前作で好きなキャラクターだった広報担当&レニーの戦略の理解者だったソフィアや、レニーが唯一心を開いていた信者のエスター、「レニー不在だとそういう行動しちゃうの……?」とショックだった……
ヴォイエッロ枢機卿やグティエレス枢機卿は前作で葛藤を乗り越えているからか、安心して観ていられる。

そして今作の主演のジョン・マルコヴィッチ、たまたまコメディ作品しか観てこなかったこともあり、品のある新教皇役が意外で新鮮。そしてピッタリ!
サー・ジョンの、ピウス13世への敬意をあくまでも忘れない姿勢が素敵だし、家族や過去のことで心に傷を負いつつ懸命に前に進もうとする姿も共感できる。衣装もとってもお洒落で似合う。

そして演出で「すごい!!」と震えたのは、全9話のちょうど折り返し地点の第5話で、レニー復活の兆しを見せて後半で一気にジュード・ロウの露出と見せ場を増やすところ。
前半で出番が少なくて「レニーをもっと見せて!!」とお預けを食らっているわけで、視聴者がピウス13世信者の気持ちを追体験できる完璧な構成。本当にすごい。
レニーはやっぱり、善か悪か、神なのか人なのかはさておき、圧倒的な聖人なんだなあ……!!
「前作とオープニング変わったな(ちょっと残念)」
と思わせておいて、レニー復活の回から曲も含めてオープニングを差し替える演出も、あざとくて上手い。
レニー復活と同時に他の登場人物の個性や関係性が見えてきて、どんどん引き込まれるのもすごい。これは脚本の巧さ。

前作以上に、ジュード・ロウの美貌とセクシーさを活かしきった演出。
登場シーンが限られる分、出てくる場面はいちいち全部サービスショットだったな……
そして最終話は、サー・ジョンの影響と今作での事件を受けてレニーが変化したところ、喪ったもの、それでも変わらない部分を思って泣いてしまう。
悲しさもあるのに、登場人物みんなが収まるべきところに収まるラストは爽快かつ暖かい気持ちになった。
タイトル『ニュー・ポープ』に複数の意味があると分かるラストも最高。

レニー・ベラルドの、尊大なのに弱さや脆さ、繊細さもあり、冷酷なのに優しさもあるキャラクター、ジュード・ロウの演じた役の中ではビジュアルも含め、圧倒的に好き。
ジュードの出番が少なめでも、少なめだからこその満足感がある、完璧な構成のドラマだった。1作目と合わせて、この先何度か見返すと思う。
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