tanzi

三国志 Three Kingdomsのtanziのレビュー・感想・評価

三国志 Three Kingdoms(2010年製作のドラマ)
4.6
2020年年末から、数ヶ月かけて視聴。
メモが残っていたのであらためてレビュー。

横山三国志も知らずゲームもしない自分の三国志は ドラマ「軍師連盟」からなんだけど、こちらは全体をざっと把握するのに非常に良かった。
長尺恐るるに足りず、初心者にこそ胸を張ってお薦めしたい。

「決定版を作るぞ!」という意気込み通り丁寧に制作された全95話は圧巻。

兵法やキャラに関してはドラマだからこそきめ細かく、それぞれの君主の人となり下臣との関係、軍師の能力などが分かりやすいし、人がいかに人を信じまた裏切るのか、嫌ってほど繰り返される。
三国志は人生の縮図とはよく言ったもの。人気が高いのも納得。

普段映画は原語でしか見ないのですが、これに関しては日本語吹き替えで日本語字幕を出して見た。
字幕を出したのは地名や城、人名が日本語音声だけでは識別できないため。
何しろなんも知りませんからね…字で補足しないと。

これだけ多くの人物が出てくると、当然推しキャラも一杯。一番のお気に入りは実は魯粛なんだけど、二番目が呂蒙。

そしてビクター・ホアン演じる周瑜ね。
三国志演義に寄せた周瑜像で諸葛亮への嫉妬心が凄く小橋とラブラブだったのに孔明を逃した途端二度と登場せず。
美しい妻より諸葛亮!その心根に笑った。
大都督という役職がどんなものかは彼が教えてくれました。
まさかの呉三連チャン。呉は大都督が熱い。

曹操は多くの俳優が演じてるけど、この陳建斌(チェン・ジェンビン)の曹操がマスターピースではと。
大胆不敵、エネルギッシュでドSで人誑し。
司馬懿曰く『決して自らの失敗を認めない』という彼の根幹を感じさせ、その上でチャーミングさも持ち合わせており視聴者すら彼が笑うと一息つける気分にさせる。
品のなさが最高だ。

登場人物は300人を超えるというので製作陣の苦労を思うと気が遠くなるが、それでも出てくる俳優のキャスティングが良くおしなべて演技力が高かった。すごい。さすが。

瑕疵があるとすれば、合戦アクションシーンの撮り方かな。ジャンプカットやバストアップの多様で誰が何をやってるのか分かりにくくてもどかしい。
がしかし、赤壁の戦いは最高に良かった。
自分はジョン・ウー監督の『レッドクリフ』より興奮した。

本国初放送は2010年。
今作ったらアクションシーンやCG美術照明はより良くなるだろうけど、多分話数はもっと制限され、キャストにチャラい若手とか、マジ?と思うような活躍(アクションも含め)を女性キャラにさせたり、最悪男キャラを女に改変したりしてぎょうさん登場、画面がキラキラ綺麗になりすぎて熱量内容重厚さともに薄くなるんだろうなぁと想像がつく。

「大陸の本気」がギュッと詰まった95話。
まさにその時その時代にしか作れなかった奇跡のようなドラマです。よくぞ作ってくれました。
tanzi

tanzi