とわこ

おちょやんのとわこのレビュー・感想・評価

おちょやん(2020年製作のドラマ)
3.9
道頓堀、喜劇、というワードに加え朝ドラとしては盤石の戦前から戦後の大阪という時代設定、そこに頭をバットでフルスイングされても微動だにしない安定感の絶叫系女優杉咲花。ひさしぶりに期待できる朝ドラ。

たくさんの名シーンがあったけど一番印象に残ったのは千代の父、テルオが亡くなってから千代のうちにみんなで集まったときの千之助(ほっしゃん)のさりげない動きだった。

千之助が「弔い酒や、地獄のテルオはん乾杯!」と地獄があるであろう地面の奥底に盃を向けたあと、すぐに顔を上げて盃を天に向けた。気をつけて見てないと気づかないようなちょっとしたシーンという奥ゆかしさもいい。書いてるだけで視界がにじむ。

そんな天国に行ったであろうテルオが本当によかった。世間的にはシンプルに「クズ」という評価らしいけどそれは違う。「アカンタレ」なんです。このアカンタレの活躍もあって個人的朝ドラランキング2位にランクイン。これまで「てっぱん」が長らく2位の座にいたけどおもしろかった記憶がどんどん薄れてきたのと、テルオの良さが交錯しておちょやんの勝ち。

ただ、ゲースロのようにただキレイにまとめるだけの最終回はいただけません。そんななか一平、いや、二代目天海天海の「喜劇がなくなる世界を目指して喜劇をやってる」というよくある逆説的名言にベタにしみたわ。
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