相馬圭太郎(三浦友和)は美容院を経営する母の光子(加藤治子)と二人暮らし。持ち前の才能は上司からも高く買われている上、阿南銀行の副頭取の娘・和子(池上季実子)と婚約も決まり、出世街道まっしぐらの男である。圭太郎は間もなく本店の秘書室へ栄転することになっていたが、これまで勤務してきた南青山支店で残務の整理に追われる日々が続いていた。そんなある日、世界ジャーナル編集長の大倉(矢崎滋)と名乗る男が圭太郎を訪ねて来る。圭太郎に記事を書いて欲しいということだったが、何かの嫌がらせだと考えた圭太郎は車代として金を渡した。すると、大倉は原稿の束を取り出し、ここにはある青年の秘密が書かれているという言葉を残して出て行く。その時、圭太郎の心の中を一瞬形容しがたい不安がよぎった。その頃、山崎陽子(古手川祐子)の勤め先に兄の竜治(風間杜夫)が訪ねて来る。竜治は陽子の唯一の肉親だったが、今は職もなく陽子の稼ぎで食べさせてもらっていた。その日の午後、圭太郎の勤める銀行に現れた竜治は、いきなり天井に向けて散弾銃を発砲した。その後、竜治は警官や行員を射殺し人質を取って立て籠る。そんな中、駆けつけた陽子が兄を止めようと縋り付きもめている隙に、圭太郎は死んだ警官のピストルで竜治を撃ってしまう。