岡田拓朗

明日の約束の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

明日の約束(2017年製作のドラマ)
4.3
「人は生きていてこそ…」
これが今作で一番伝えたかったことだったと自分は感じました。
脚本、内容、メッセージ性、全てにおいて、今クールベストのドラマだったと思います。
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今作には様々な愛と優しさが詰まっているものの、その愛と優しさに警鐘を鳴らしているようであった。
優しさが自分よがりになることで、起こってしまうこと。
優しさの裏には、その人の我慢があって、それは蓄積されていくほど、追い詰められていくということ。
そして優しい人は、人の気持ちがわかり、人に嫌われたくないと思う臆病な側面も持っている。
だから誰にも相談できずに、全て自分で抱え込んでしまい、あるときに限界がきて、死を選んでしまうこともある。
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自分のために生きること、自分に素直に生きることがどれだけ難しくて、どれだけ尊いことか。
その上で誰かのために生きて欲しい。
切実にそれを思う。
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我慢から生まれる苦しみは、そこから逃げないと解放されないし、それが毎日続くと思うと、それだけで生き続けない方が楽なのでは、という思考に陥り得る。
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今作には、同じような境遇で死を選んでしまった人と生き続けられた人がいる。
人は生きてこそであるメッセージとともに、SOSを出すこと、その状態から逃げ出すこと、がその状況を変えることができる手段であることとそれは許されるべきであることが伝えられている。
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それが最後に日向が吉岡くんのことを、許せないと言った理由なのではないかな…。
吉岡くんは最後まで誰のせいにもせずに死を選んだ。
その優しさこそも、周りを悩ませることになり、さらなる自殺者が出そうになった。
嫌なことは嫌と伝えていれば、SOSを出していれば、そこから逃げていれば…それは自分のために行う許されるべき行為である。
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まずは徹底的に自分のために生きよう、話はそれからだと思います。
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最後に、何でこの世の中が生き難いのか、それは我慢することが誰かのためになり正しいことであるという無言の圧力みたいなものが働いているから…そんな気がしています。
だから今作はまさに生きにくい世の中のメタファーだったと思います。
岡田拓朗

岡田拓朗