オレオレ

プロット・アゲンスト・アメリカのオレオレのレビュー・感想・評価

4.0
フィリップ・ロスの独特の言い回しが難な長編原作を読んだので観る。
2時間映画じゃなくミニシリーズにして正解。それでも駆け足感は否めず、甥っ子アルビンの葛藤や暗殺されるウィンチェル候補の立場やなんかは端折り気味。

メインキャストの熱演が素晴らしい。
小学校低学年くらいのまだまだ子供子供した次男と、自我に目覚め始め、自分の親が必ずしも正しいとは限らない、という事がわかり始めた年齢の長男。ユダヤ人弾圧を避け、間に合う間に早くカナダに逃げたい母親ベスと、逃げるのは解決ではないというショートサーキット気味な父親ハーマン(でも口ばっかりだと、カナダ軍として参戦→足一本無くした甥っ子から偽善を突っ込まれる)。

そんな中、架空の1940年の大統領選挙は、積極的に参戦したくないものの回避は不可と考えるルーズベルトと、参戦回避にはナチスと手を組むのもやむなしとするチャールズ•リンドバーグ。「戦争か自分か」をスローガンに大統領選は後者が勝つが、アメリカ国内ではユダヤ人排斥が横行し始め…

政治、経済はもちろん、ジョークでさえ「ユダヤ枠」(言い方悪いけど)があるアメリカ、このフィクションは現実味あるなあ〜というかこの国、実際、日系人を収容所にぶち込んでるのは事実だしな、作中では一切触れられてなかったけど。しかし、ヨソの国のニオイがぷんぷんする大統領とか、合法性疑わしき人種差別政策とか、やたら今のアメリカと被るね。最後に描かれる投票の信頼性の揺らぎ含めて。

最終回、リンドバーグが行方不明になりーの、ラバイが連れて行かれーの、元近所友達のシェルドンはフランティックな電話をかけてきーの、の畳みかける演出が良かったわ〜
そしてベス(Z. カザン)の我が姉(W. ライダー)への態度も!あそこで甘っちょろい展開だったら、テレビ消してたぜ!