ノラネコの呑んで観るシネマ

返校のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

返校(2020年製作のドラマ)
4.3
Netflixドラマ版。
映画版から30年後の1999年。
時代が変わっても、相変わらず権威主義的な校風を保っている翠華高校に、霊媒体質の少女ユンシアンが転校してきて、地縛霊となっている映画版の主人公ファン・ユイシンと出会う。
続編と言っても元の話を内包した後日談なので、これだけ観てもOK。
物語の序盤は、ユンシアンもユイシンと同じように教師との禁断の恋に身を焦がし、歴史は繰り返す的な話かと思わせておいて、二人の恋が真逆の展開を見せる中判以降は、「オーロラの彼方へ」とか、J・ディアディン監督の懐かしの佳作、「コールド・ルーム」的なSF要素も入ってくる。
そして最終的に、周りに翻弄された二人の少女の、切ない恋と罪に対する大いなる共感の物語へと収束する。
1999年という時代設定にもちゃんと意味があって、翌年の総統選で国民党は下野。
白色テロの時代に責任ある人たちが、退場する前年なのだ。
「自由の雨」と題された最終回には、思わず涙腺決壊。
鈍痛のように歴史の痛みを感じさせる映画版も面白かったが、民主化の時代を描くこちらも、希望がやって来るまでの絶望の歴史があったことをしっかりと描いて秀逸。
連続ドラマというパッケージを、上手く使い切った。