ヨーク

シャタード 美しき罠のヨークのレビュー・感想・評価

シャタード 美しき罠(2022年製作の映画)
3.3
未体験ゾーンの映画たち2024の6本目です。
この『シャタード 美しき罠』は何というか、未体験ゾーンの映画と聞いて正にこういう感じ! と想像するような映画だったな。別にそんなに面白くはないんだけどそこそこくらいの見所はある1アイデア勝負の映画という感じですね。まぁ1アイデアといってもそのアイデアが秀でているかというと別にそうでもないし他にいくらでも似たような映画あるよね、という感じではあるのだが…。
肝心のお話がどんなものかというと、主人公は若くして大成功したIT長者で何でも自作の防犯アプリがヒットしてそれをグーグルが大金で会社ごと買い上げてくれたらしい。いくらで買ってくれたのは明言されなかったが、どうもせいぜい30代半ばくらいに見える主人公が人里離れた田舎に豪邸を建てて悠々と早期リタイアできるくらいの値段にはなったらしい。ただそんな主人公も人生の全てが順風満帆というわけではなく別居中の妻とは後は書類にサインするだけという離婚寸前な状況で一人娘とも会えない状況が続いている。そんな折、主人公は近所のスーパーで一人の美女と知り合い、彼女は主人公に近づいてくるのだが…というお話です。
まぁタイトルに「美しき罠」とか書かれているからその先の展開は大体皆さまが思った通りの展開になるのだが、まぁ一言で言えば非常にタチの悪い美人局のようなものですね。だがよくある美人局みたいに一発ヤッた後に「人の女に手を出してただで済むと思ってんのか! ワレ!!」的な感じで怖いおじさんが出てきて金銭を恐喝されるだけには留まらず、家の権利やら保有してる株式やら絵画やら、何もかもを一切合切奪っていこうというタイプのやつで、恐らくだが過去に何度も似たようなことをしていたと思わせる部分もあるのでプロの犯行なわけですね。
そのネタで92分の映画を一本作り切ろうというのがもう未体験ゾーン感がぷんぷんである。あぁこれ絶対途中でグダグダになってクソみたいな尺稼ぎシーンばっかりになるわ、と思ったのは俺だけではあるまい。しかしだ、ところがぎっちょん、思ってたよりは全然観られる映画だったのである。細部に?? となる部分は結構あって、さすがにご都合過ぎるだろと思うところもあるにはあるのだがハシゴで数時間前に観たばかりの『エイリアン・コップ』と同じように展開が早くてダレる前に次のシーンへと移っていくので退屈な感じはあまりないんですよね。
んで個人的にはここが一番面白かったのだが、一番ダレて眠たくなってしまうであろう中盤の辺りでジョン・マルコヴィッチ演じるジジイが大活躍するんだけど、そこがマルコヴィッチの芝居に助けられてるとはいえ中々面白かったんですよね。ハッキリ言ってストーリー的には全部カットしても問題ないシーンだったし、そこが一番面白かったというのもどうなんだろうとは思うが、あのジジイのシーンがなかったらきっと爆睡していたはずなので実際面白い件でしたよ。ちょっとだけ茶々を入れに来たジジイっていうだけのシーンなんだがそのどうでもよさこそが面白かったですね。まぁ映画自体がどうでもいいような映画だからそんなお遊びシーンが面白かったんだろ? と言われたら、そうだね、としか言いようがないが!
まぁ全編を通してそんなに凄いことは起こらないけどちょうどいい感じのサスペンスで良かったんじゃないですかね。真面目に良かったところといえばもう一人の主役でもある色仕掛けをしてくる女の方の人物像というか、過去にどんな経緯があってこうなったのかということはほとんど語られなかったのはそっちの方がいいなと思いました。結局どういう奴だったのか、何となく察することはできるけどハッキリとは分からないという塩梅はちょうど良かったと思う。
あとはその女役の役者さんがいい感じにエロかったのも良かったです。これはまぁハニートラップにも引っかかっちゃうかな、という説得力はあったかと思う。やたら尺だけは取るくせにつまんねーセックスシーンばっかりだった『哀れなるものたち』のセックス描写よりは(少なくとも)エロさはあったと思うね。単に俺の好みだったというだけかもしれないが…。
まぁそんな感じで未体験ゾーンの映画としてはそこそこ面白かったくらいでした。別におすすめはしないけどちょっとしたエロありのもんでも見たいなというときにはちょうどいいんじゃないでしょうか。
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