メイマーツインズ

サバカン SABAKANのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)
4.0
《ここは80年代。青春の、少し前の、せいしゅん》

前回レビュー作”blank13〟の流れで昭和を舞台にした本作を。
昨年からフォロワーさんのレビューに惹かれ、ずっと観たかった作品。
Netflixにて。



舞台は1986年(昭和61年)の長崎。
子供たちのひと夏の冒険と友情を描いてあり、
ロブ・ライナー監督の名作”スタンド・バイ・ミー〟のような甘酸っぱさがここにもある。

自分が福岡出身で今は福岡在住ということもあり、長崎出身の知人も多く、長崎にはとても縁がある。
そんな長崎が舞台ということもあり、より物語に入り込んでしまう。

昭和60年代の空気感を見事に再現していて、両親役の竹原ピストルと尾野真千子は絶妙のキャスティングだろう。2人からは昭和の香りを感じる。
ただ、草彅剛の存在はちょっと浮いてるかな…
ナレーションもイマイチだし。

1980年代半ばは、自分もまさに少年時代。
ここに描かれる少年たちと同世代だから、キン消しのガチャガチャに夢中になったあの頃の記憶が甦る…
冒険心旺盛だったから、自転車で遠出をしてよく親に叱られた。
作中の子供たちのように自転車の二人乗りで坂道の下りでスピードが出過ぎて転んで大怪我をしたことも。

家庭の事情で転校していく友達との別れ。

”またね〟

自分も出る方、残る方、両方の立場で何度も別れを経験したけど、子供ながら2度と会えないかもしれない想いでいつも胸を詰まらせていた。
そんなノスタルジックな想いが込み上げてくる…

エンドロールの選曲は現代的で良い。
ただ昭和という時代が背景にあるので、ラストシーンで自分の頭の中で流れたのは井上陽水の名曲”少年時代〟。
篠田正浩監督作品”少年時代〟のラストシーンでも使われたけど、テーマが同じ”ひと夏の友情〟ということもあり、これ以上の選曲はない。
宇多田ヒカルのカバー曲だと現代風が加味されてより最高だろう。

”夏が過ぎ風あざみ

誰のあこがれにさまよう

青空に残された

私の心は夏模様…〟

また8月に観たい、そんな作品です。