Dumbo

君を想い、バスに乗るのDumboのレビュー・感想・評価

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)
4.2
「おじいちゃんが旅をする」というと、

ほのぼの系のロードムービーかと勝手に想像してたのですが、
とても過酷で辛くなりました💦

イギリスの空はいつもどんよりしていて、
この旅の過酷さを物語っているよう…

このおじいちゃん、
かなり体調悪そうで、歩くことさえおぼつかない様子…
それなのに、一人で、
しかもバスを何度も乗り継いで、
なんと1350kmもの長旅に出ます。

どんなトラブルがあっても
どんなに体調が悪くても、
絶対に目的地に行くという強い思いがあって、けして旅をやめようとはしない。

「妻との約束を果たすため」
ただ、それだけを一途に思って…


SNSでは
本人が知らない間にヒーローになってて、
目的地には大勢の人たちがヒーローの到着を待っていた。

彼の目的は誰も知らないのに…



満身創痍でたどり着いた目的地、
その長い旅の終わりに
妻との約束を果たした彼の表情は
それまでの苦しそうな顔とは全然違って、
とても幸せそうでした。

もう、そこで号泣…

そして、
妻との約束を果たした後、
本当の目的がきっともう一つあったんですよね…
きっとそうだろう…って思うと、
とても切なくなりました。


この旅でいろいろなトラブルに見舞われる度に、
彼の今までの人生の
幸せだった瞬間や
悲しかった出来事が次々とオーバーラップして、
その旅はまるで、彼の人生を辿る旅のようにも見えてきました。

旅と同じく人生も平坦ではなく、
いろんな事が予期せず起こる。
その人生の旅路を共に過ごしてきた妻は、
亡くなっていてもきっと、
彼と一緒にこの旅もしていたんだと思う。

『小さな麦の花』の夫婦と同じように、
人から見たらあまり幸せそうじゃなくても、
どんなにカッコ悪くても、
本当の夫婦愛ってそういうもの。

きっと本人たちにしかわからない…




※エンドロールは最後まで観てください。
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