寂々兵

ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編の寂々兵のレビュー・感想・評価

2.8
ジャック・メスリーヌの生涯を逐一丁寧にたっぷりと描いてくれているわけだが、ただただメスリーヌが犯した犯罪を紙芝居のように淡々と見せてくれるだけで、アルジェリアの亡霊に苦しめられている筈の彼がその辺のチンピラギャングにしか見えなかった(もっとも晩年のメスリーヌが成金ギャングと化していたのは事実で、映画内でもそこを突かれてキレてるわけだが)。前後編合わせて4時間30分という長尺の中で脱獄3回、色恋4回、銀行強盗7回(くらい)をダラダラやってくれる編集の機能していなさも凄いが、恐るべきは序盤と終盤の謎の画面分割。フライシャーやアルドリッチに影響を受けたのか知らんが、歩いているカッセルをバストショット・全身・引きのカメラで撮って三分割で映しているだけで、何の意味も成してない。同時刻に警察や右翼団体も動いていたのだからそっちを映せばいいのに。申し訳ないがこの監督驚くほど映像のセンスがない(他にも内省的な心情を台詞でダラダラと喋らせてしまう節操のなさ)。役者陣はカッセルをはじめとしてドパルデュー、アマルリック、ランヴァンといぶし銀なオッサン勢揃いで、女性陣もセシル・ドゥ・フランス、エレナ・アナヤ、リュディヴィーヌ・サニエと美女揃いだが、彼女たちとメスリーヌが戯れているときは特に映画が停滞するというジレンマ。まあ典型的な役者頼りの映画って感じで総じてつまらなかったので1週間かけてダラダラ観た。マイケル・マンがカッセル主演のメスリーヌを3時間くらいで撮ってくれたら完璧だったんじゃないか?
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