ヨーク

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)のヨークのレビュー・感想・評価

3.5
俺は劇場で映画を観たらTwitterで一言レベルの簡単な感想を呟いてるんだけど、本作『劇場版シティーハンター 天使の涙』を観た直後のツイートは「今回はかなりシリアスな方のパターンだったけど、それはそれとしてやっぱ歌舞伎とか能みたいに型を見る作品だよなと思うよ。プリキュアも思いっきりそうだが、それ観にきてる客はそれで満足するよなっていう。あと今でも神谷ボイスは格好良かったです」というものだった。
この奥ゆかしい呟き。面白かったかつまらなかったかには直接触れずに、しかしシティーハンターらしさはあったからそれなりの満足感はあったと言いながら主演声優の声の良さに持っていく。我ながらなんて当たり障りのないツイートなんだと感心してしまう。しかしまぁわざわざそんなツイートを引用して回りくどい感じで感想文を始めてしまうということは、凡そのお察し通りにあんまりグッとは来なかった映画であったのである。一応、書いておくと上記したようにそれなりに満足感があったのは確かなのだがそれ以上のガッカリポイントがあったのだ。
そのガッカリポイントを書く前にザッとあらすじを書いておくと、今回の依頼者は動画制作者のアンジーでその依頼内容はなんと猫探し。本来はシティーハンターが受けるような依頼ではないがアンジーが美女なので冴羽はノリノリ、また香も高額の報酬に釣られてノリノリ。しかしただの猫探しのはずがアンジーの命が狙われ、そしてそこにかつて冴羽のパートナーであり香の兄である槇村を死に追いやった麻薬「エンジェルダスト」とそれを扱う犯罪組織ユニオンテオーペの影が…、というストーリー。
エンジェルダストですよ! アナタ! ユニオンテオーペですよ! アナタ! そして予告編では海原神の姿もあるんですよ! これはもう期待するしかないだろう! 何に期待するって!? そりゃミック・エンジェルだよ!! 原作では終盤強烈な印象を残すキャラでありながらアニメ版では未登場(というか原作のラストエピソード自体が映像化されていない)の人気キャラがこの令和の劇場版シティーハンターで遂に登場かよ! しかもそのまま前後編くらいのボリュームにはなりつつも原作の終盤のエピソードまでアニメ化してくれるのか! と期待したファンはかなりいたはずだ。上記したように本作ではメイン級でオリジナルキャラの依頼主が出てくるがそれはまぁ導入用のキャラで本筋が動き出したらミックが出てくるんじゃないの? と、俺はそう思っていた…。思っていたんだ…。
こう書くと分かると思うが、本作にはミックは出てきません。そりゃねぇよ。ついに原作終盤のエピソードを映像化だと思ったのにミックなしかよ…っていうこのガッカリ感ね。まぁユニオンテオーペのエピソードをガッツリやるなら前後編にはなるだろうと思ってたし実際本作も後編に続くで終わってるんだが、ぶっちゃけ後編でも多分ミックは出てこないだろう。なぜかというと本作はオリジナルキャラでもって大体原作でミックがやったのと似た展開をなぞってしまったからだ。流石にもっかい同じことはやらんだろう…。ということは今回令和に復活した劇場版シティーハンターでもミックの出番はないということだ…。これはガッカリ…これはガッカリですよ…。
そういうわけで俺の本作への評価はそれほど高くはない。ただこれも最初に書いたようにいわゆるシティーハンター的なお約束は随所にあるので普通に楽しめるといえば楽しめるものではあるだろう。香のトラップをかいくぐってもっこりを目指す冴羽獠の姿だったりコルトパイソン一発で墜ちる軍用ヘリだとか、そういうお約束的なシーンは外していないのでそこそこは楽しめよう。
ただまぁそこそこだよなって感じなんですよね。映画としての前作『新宿プライベートアイズ』は完全オリジナルだったから良かったけど、原作エピソードを使うならやっぱ原作に準拠したキャラクターは使ってほしかったなと、それはありますよ。まぁ神谷明の冴羽獠をあと何度観れるだろうというのはあるから次回作も観るけどさ、もうちょい原作ファンへのサービスも欲しかったなというところですよ。その辺は次回に期待っすね。
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