村人たちの民俗芸能として薪能が伝わる一方で、近年巨大なごみ処理施設が建設された霞門村で、暗い家族の過去とギャンブル中毒の母親の借金を背負った青年・優はてごみ処理施設ではたらき村でも最底辺の暮らしをしていたところ、幼馴染の美咲の帰郷により、優の生活は一変し、村に潜む大きな暗部が明るみになっていく、というサスペンスドラマ作品。
物語の構図はとても分かりやすい。
日本のタコ壺的村落共同体の変化に乏しい人間関係の中に潜む悪意が描かれており、そんな村落共同体にゴミ処理施などができたらどうなるか、もうお分かりですよね。村に雇用を生み出し、補助金などで村の経済は回る部分もあるが、迷惑施設の運用が閉じられた人間関係で運用されれば・・・。
そんな固定化された人間関係の中では、悪意や怨嗟は積りに積もって決壊したり、外からのちょっとした要因で危機的な状況に陥ったりする。また、大きな事件が起きても、みんな闇に葬られた真相は知っているけど知らないふり、なかったことにして今まで通りに暮らそうとする。そんな前時代的な日本の閉じた村落共同体は、残酷な場面もあるものの、傍から見ると滑稽にすら見えてしまう。
横浜流星、黒木華、古田新太のお芝居がすごい。横浜流星はティーン向け映画の王子様キャラから演技派俳優へ着実に進化を遂げている。
