りょうすけ

蜂蜜のりょうすけのレビュー・感想・評価

蜂蜜(2010年製作の映画)
3.5
「蜂蜜」

カプランオール監督「ユスフ三部作」の最終章にて第60回ベルリン国際映画祭にて金熊賞を受賞した作品。最終作だが、時系列的には一番最初でユスフが子供の頃の物語が展開される。

金獅子を受賞しているだけあって、三作の中で一番面白かった。前二作品に登場した青年ユスフとおじさんユスフを形成した子供時代が描かれる。注意深く見ていないと気付けないことがあるが、拾える情報は結構多いと思う。

また、三部作の中で一番、自然の描写が美しかった。前二作と舞台となる町のイメージが違ったので、もしかしたら違うところなのかもしれない。森だったり、川だったり、鹿だったりと、催眠に誘われそうな要素ではあるが、眠くならなければこれ程よいヒーリング映画もなかなかないと言わんばかりの映像である。

本作は、三部作の中で一番、物語に「動き」がある。静寂が売りのシリーズだが、本作は初っ端からなかなか動的なシーンがある。作品全体を象徴するシーンがアバンとして挿入されるのがこの監督の手法なのかもしれないと「ミルク」の際に思ったが、本作のアバンの映像を踏まえるとそういうわけでもなさそう。

まぁ、なんだかんだこの静けさも三作も観ると、慣れてきて心地よさを感じるレベルである。他の作品を観ずに、どれか一作だけ観てもあまり影響はないと思うが、やっぱり三作一気に鑑賞するのがおすすめである。
りょうすけ

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