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スマイルのkuuのレビュー・感想・評価

スマイル(2022年製作の映画)
3.5
『Smile スマイル』
原題 Smile.
製作年 2022年。上映時間 115分。
余談ながらこの映画はもともと"Something's Wrong With Rose"ちゅうタイトルやったそうですが、"Smile"に改名されたそうです。
また、『SMILE』はパーカー・フィン監督が手掛けた短編映画『Laura Hasn’t Slept(ローラは眠れない)』が元ネタです。
短編はアマプラに『短編映画『ローラは眠れない』 と監督パーカー・フィンによる紹介』ってタイトルで見れましたヨー。
主演のソシー・ベーコン(ローズ役)は俳優ケビン・ベーコンとカイラ・セジウィックの娘さんです。

精神科病棟で働く心理カウンセラーのローズはこの日も通常勤務として重度の患者と面談していた。
ベテランということもあり、かなり錯乱した患者相手でも冷静だった。 
ところがある若い女性だけは違っていた。
その女性は『何かが見える』と必死に説明し、やがてショッキングな行為にでる。
その光景を間近で目に焼き付けてしまったローズは、それ以降、何か自分の身に不安と恐怖がつきまとうようになり。。。

パラマウントは当初、1700万ドルちゅう低予算の今作品を、Paramount+でのストリーミングのみの公開にする予定やったそうな。
しかし、テスト上映を行ったところ、予想をはるかに上回る高得点を記録したため、パラマウントは今作品米国で劇場公開することを決定した。
オープニング週末の興行収入は2200万ドルで、パラマウントの配給責任者であるクリス・アロンソンは、"我々の想像を超える "と述べている。
日本においては、アチコチで銭をかけ洗練された宣伝形態からものすごくて、かなり期待値を高めさせ、興味を持つものへアゲアゲにさせてくれてたが正直ジャンプスケアの多用は個人的にマイナスポイントかな。
ちなみに、ジャンプスケアは観客を驚かせ恐がらせることを意図して主に大きな恐ろしい音と共に画像や出来事を突然変化させるテクニック。1980年代以降の映画でよく見られるジャンプスケアは、『ホラー映画の最も基本的な構成要素の1つ』と云われてますヨー。

扠さて、笑顔(スマイル)には、愛、悲しみ、惨めさ、恥ずかしさ、怒り、幸福感など、無数の様々な感情を伝える可能性を秘めてる。
しかし、笑顔は恐怖を伝えることができるやろか?
今作品はそんなんを試みをしてもいるんかな。

ローズ・コッター医師は、患者を巻き込んだ奇妙なトラウマ事件を目撃した後、説明のつかない恐ろしい現象に遭遇するようになる。
ローズは、恐ろしい新しい現実から逃れ、生き残るために、自分の厄介な過去と向き合わなければならない。

これは、よく知られた前提のように聞こえる。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。一見斬新なアイデアやけど、今作品を実際に視聴してみると、今作品がサラ・ミシェル・ゲラー主演の2000年代前半のあるホラー映画に酷似していることに気づく。
(ここでは敢えてこの作品などは書きません)。とは云え、今作品が約束された恐怖を提供し、自らの袖に仕込んだいくつかのトリックで観客を惑わす限り、その親しみやすさは問題にならないはずやとは思う。
そして、ほとんどの場合、それは実現されているかな。
今作品は結構力強く始まり、衝撃的で印象的なオープニングで、無限のホラーの可能性を広げる扉を大きく開く。
そして、第一幕はよかった。
その前提に基づき、映画の最初の45分ほどは、個人的に望んでた不気味なモンでいっぱいやった。
実際に影響を受けたジャンプスケアがいくつかあり、本当に不穏なイメージがあり、全体のテーマとコンセプトは十分に興味深く、不穏で、結構ブルッた。
超常現象かイカれてんのかわからないが、それらの数々はまぁ満足させてもくれたし。
この映画の第一幕は、大量の心理的ドラマを伴って、確実に満足させるものでした。
シークエンスですっかり魅了され、今作品が今年のホラー映画上位の一つになると思え始めたほどやった。
何が起きているのかって、観客をさらに惹きつけ、興味を持たせるためやとは思うが、もっと曖昧で、鼻につく説明や比喩を少なくしたほうが、この映画はうまくいったのではないかと思わずにいられない。
第3幕は、親しみやすさが表面化したところで、正直、楽しみは薄れ始めた。
しかし、エンディングはそれを補って余りあるもんかな。
『スマイル』が語ることにしたストーリーは、予測可能ではあるものの、見る者をゾクゾクさせ、ブルッとさせる瞬間かまあり、まぁ面白い部類でした。
今作品は最も怖く最も独創的なホラー映画ではないが、期待を抑えて楽しむことができれば、いわゆる不気味なモンを求める季節に見るには最適なんちゃうかな。

スマイルについて徒然にぃ~ニコっ😊。
『笑い』にはホンマ不思議な力がある。
人の笑顔を見るだけで心が暖かくなったり、優しい気持ちになれたりもする。
せや、時としてこの『笑い』には、我々をメチャ不安な気持ちに駆り立てる時もある。
ピエロの笑顔に戦慄を覚えた経験がある人も多いんちゃうかな。
幸せの象徴であるはずの笑いによって、どないしてこんなことが起こるんやろか?
我々の恐れってのは予測ちゅうやつと密接に関わっており、物事が思う通りに進まなかった場合に我々は恐れを抱くのやと云う学者もいる。
そのため、映画『エクソシスト』を例にしてみると、愛らしいはずの少女リーガンが予測できない奇妙な動きを見せると、どないしても恐怖を覚えちまう。
今作品『Smile スマイル』もそこのツボを圧してきてた。
当然ながら、人は楽しいときに笑う。
そんため楽しいと感じている人が笑っているのはとても自然なことやけど、その逆に対しては恐怖を感じることになる。
つまり、楽しいと感じているはずのない人が笑っていれば、自分の予測と違う結果が起こっており、そこに恐怖といった感情が湧いてくる。
冷酷に、淡々と人殺しをやってのける映画『ダークナイト』の主人公ジョーカーの微笑みに恐怖を感じるのは、その行動が楽しいはずがないと勝手に頭が思っているからに他ならない。
また、少女が血の滴るナイフを持ってニヤっと笑みを浮かべてる場面を想像するだけで怖くなる。
これを生理学的な観点からみると、笑いと恐れは非常に似通ったものである。
それは、どちらも高い興奮状態における反応であり、誰かに『ワッ!』と驚かされて叫んだ後に笑いがこみ上げるのはこのためである。
危険を察知して高まったエネルギーが、危険ではないと悟った瞬間に『笑い』へと変換されている。
別の例としては、我々はロボットや人形の笑いに恐怖を感じる傾向がある。
それらを扱ったホラーは多岐にわたるかな。
これは、人間の感情とは縁遠いはずのそれらの物体が、笑うといった感情に基づく行動を起こすことに不気味さを感じているに他ならない。
以前、Alexa(アレクサ)が突然笑い出す現象が相次ぎ、人々を震え上がらせた事件も記憶に新しいんちゃうかな。
ここにおいても、Alexaは独立した感情を持たないはずであるにも関わらず、あたかも感情があるかのような行動をとったことに人々の予測とは異なるところがあり、恐怖の感情が促されたと云える。
もし今、未来に対して恐怖や不安を感じてんのであれば、それは未来に対する予測を立てられていないことに起因しているのかもしれない。
予測が可能な安定した未来ではなく、予測不可能な道を選んだ人は一生恐怖と上手に付き合っていくことを求められていると云えるのかもしれません。
また、怖さを映画に求めるなら、その作品のネタバレだけではなく情報をシャットダウンして予測不能状態で対峙したら、沢山楽しめるんかもですヨーっと。
愛トゥ忌ませ~ん
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