れもん

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)のれもんのレビュー・感想・評価

3.5
2023年公開の『ドラえもん』の映画シリーズ42作目(「第2期」17作目)。
観た後に暗い気持ちにならなそうな映画を探していて、そういえば今作がアマプラで観られるようになっていたな…と思い出し鑑賞。

私は『ドラえもん』の映画シリーズは最新作『のび太の地球交響楽』以外は全て鑑賞済だけど、今作は映画シリーズの中でもかなり『ドラえもん』っぽくない雰囲気の作品だった。
監督の堂山卓見は『ドラえもん』の映画シリーズにおいては初監督ながらテレビシリーズには関わっていたらしいが脚本の古沢良太はこれまで『ドラえもん』に一切関わっていなかったらしいので、そのあたりが要因なのだろうか、この『ドラえもん』っぽくない雰囲気が好きな人と嫌いな人にわかれそう。

ユートピアが実はディストピアだった…という展開は『ミッドサマー』が大好きだった私としては嫌いな展開ではなかったけど、そこでピンチになる展開のためにおなじみのひみつ道具がほとんど使えない状態になっていたのは割と無理矢理感があると思った。
ひみつ道具があってこその『ドラえもん』だし、極論を言えばたとえドラえもんとのび太が登場していてもひみつ道具が登場しない物語は『ドラえもん』とは呼べないとも思うし。

また、映画ポスターのキャッチコピーが「僕らの「らしさ」が世界を救う。」でそれがそのまま今作のテーマだと思うけど、その「らしさ」が微妙に解釈違いな気がしていまいちクライマックスの展開にノりきれなかった。
ジャイアンの乱暴者とスネ夫の意地悪に並ぶほどしずかが強情だと思ったことはないし、しずかが優しくてジャイアンが勇敢なのはわかるけどスネ夫は別に仲間思いではないだろと思った。
個人的には、しずかは強情というより辛辣だし、スネ夫は仲間思いではないからこそシビアな意見を言える、そういうキャラクターだと思う。

のび太はそんな三人の個性がなくなっていく違和感を感じられていたのにしつこくパーフェクトになりたいと言い続けているのが変だった。
のび太はパーフェクトではない自分でもチヤホヤされたい的な欲求はありそうだけどパーフェクトになりたい的な欲求があるタイプには思えないし、仮にそういう欲求があるとしても、普段通っている小学校の授業より少し楽しいくらいのあの授業を熱心に受け続けるほどの根気はなさそうに思う。
そういう根気がないからこそののび太ではないのか。

永瀬廉、山里亮太、藤本美貴の声が全然邪魔になっていなかったのは良かった。
永瀬廉の滑舌は若干気になったけど。

2024年映画鑑賞30作目。

【2024.04.09.鑑賞】
【2024.04.10.レビュー投稿】
【2024.04.14.レビュー最終編集】
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