シリアルキラー・パールの誕生秘話を描いた、タイ・ウエスト監督×ミア・ゴス主演によるシリーズ3部作『X エックス』の前日譚にあたる2作目。
人里離れた農場で華やかな世界に憧れを抱きながら、体が不自由な父と厳格な母と共に暮らすパールの抑圧された欲望が日に日に増していく。
めちゃ雰囲気は好みでしたが、ホラーとしてはかなり大人しめ。前作以上にグロ少ないし、ゴアのインパクトも弱い。
1970年代を描いた前作から60年前を舞台にしていることもあり、ヴィンテージシネマを意識した赤みの強い色彩やセリフ回し、作風が印象的。
まるでミュージカルの始まりを予感させる冒頭から、ピッチフォークで無慈悲にアヒルを殺害し、ワニの餌にするタイトルバックで雰囲気が一変。
スペイン風邪の流行により行動の制限や抑圧された生活を送るなか、パールに扮したミア・ゴスが次第に狂気を剥き出しにしていく様は、いつ爆発するか分からない爆弾を見ているよう。
終盤5分くらいに及ぶ長台詞は意識が飛びそうでしたが（笑）その後の長回しからスプリットスクリーンで遺体処理を淡々と見せるまでの流れは、作中もっともホラー的と感じたシーン。
夢破れた1人の女性の鬱屈した情熱が、狂乱へと変貌するまでを見届けたあと、改めて前作を見返すことで、彼女がなぜ「若さ」と「快楽」に執着したのか、パールの悲哀を感じることができる。そういった意味では、最終章となる次回作『マキシーン』への期待が膨らむ作品かなと。
帰還後にパールを受け入れたハワードも相当な曲者なので（笑）彼目線も含めた4部作にしたらいいのに…と勝手ながら思ってしまう私( ⌯᷄ ·̫ ⌯᷅ )
ラストで映し出される、どアップの笑顔が強烈w
