メイマーツインズ

ちひろさんのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
4.0
《さみしさも、よろこびも、こころのままに生きていく》

”あの頃〟”街の上で〟の今泉力哉監督作品。
ちょっと心が疲れ気味の時は、日本人にはご飯に味噌汁のように、心に沁みる邦画が観たくなる…
Netflixにて。


元風俗嬢ちひろの風のような生き方を描いた作品で、心のままに正直に生きるちひろの姿がとても自然に映る。

ニコラス・ケイジ主演作品”リービング・ラスベガス〟のレビューでも触れたように、自分の今までの人生には数人の風俗嬢と縁があった。
普通の感覚では風俗では働けない、だから彼女たちは何かしらの心の闇を抱えていた。
そんな影のある姿に、自分は惹かれたのかもしれない。
主人公ちひろも同様で、心に闇を抱え、人生を悟ったような生き方をしている。
人に依存せず、孤独であることで、自分の心を守ろうとするちひろ。
だから、普通の感覚では理解し難い不思議ちゃん・ちひろの姿はとてもリアルに感じてしまうのだ…

有村架純が素晴らしい‼︎
本作で完全に一皮剥けたのではないか?
若かりし頃の小泉今日子のような笑顔。そして、表情や仕草から漂う色気。
ちひろ役は彼女以外に考えられないほど、役に魂を吹き込んでいるかのようだ。
平田満、風吹じゅんといった名優たちが優しい味付けとなり、
リリー・フランキーが物語に深味を与えるスパイスに。

たった一度の人生。
人にはそれぞれの”生き方〟がある。
歳とともに背負うものが増えた今、簡単なようで難しいことではあるのはわかっているけど…
残りの人生、許される限り自分の心に正直に生きていきたい。